
「最近、片方のまぶたがピクピクする」 「疲れているだけだと思っていたのに、なかなか治まらない」 「目の周りだけでなく、頬や口元まで引きつるようになった」 ——そんな経験はありませんか?
まぶたのピクつきは、疲労や睡眠不足などによって一時的に起こることもあります。しかし、片側の顔にけいれんが続く場合は、「片側顔面けいれん」という神経の病気が関係している可能性もあります。
今回は、一般的なまぶたのピクつきと顔面けいれんの違い、医療機関を受診する目安、そして当院で行っている「十字刺法」による鍼灸についてご紹介します。
まぶたのピクピクは、すべて顔面けいれん?
まぶたがピクピク動く症状には、いくつかの原因があります。
比較的よくみられるのが「眼瞼ミオキミア」と呼ばれる状態です。まぶたの筋肉が細かく動くもので、睡眠不足、疲労、ストレス、カフェインの摂りすぎなどが関係することがあります。
こうした一時的なピクつきは、十分な休息を取ることで自然に落ち着く場合も少なくありません。
一方、「片側顔面けいれん」は、顔の片側にある表情筋が自分の意思とは関係なく収縮する病気です。
最初はまぶたのピクつきから始まり、次第に同じ側の頬や口元までけいれんが広がることがあります。
まぶたがピクピクするという症状だけで、顔面けいれんと判断することはできません。
けいれんの場所や広がり方、持続期間などを確認することが大切です。
このような変化があれば注意しましょう
次のような症状がみられる場合は、単なる疲労によるピクつきではない可能性があります。
- 片側のまぶたのピクつきが長く続いている
- 以前よりもけいれんの頻度が増えてきた
- 目の周りだけでなく、頬や口元も動くようになった
- けいれんによって目が勝手に閉じてしまう
- 会話中や人前で顔が引きつり、気になる
- けいれんによって仕事や日常生活に支障が出ている
これらは顔面けいれんを疑うきっかけになりますが、ほかの病気でも似た症状が起こることがあります。
症状が続く場合は、自己判断せず、神経内科・脳神経外科・眼科などで相談しましょう。
顔面けいれんは、なぜ起こるのでしょうか?
顔面けいれんは、顔の表情筋を動かす「顔面神経」が刺激されることなどによって起こります。
代表的な原因の一つが、脳幹から出た顔面神経を近くの血管が圧迫することです。
神経への刺激が続くと、本人の意思とは関係なく筋肉が収縮し、顔の片側にけいれんが起こることがあります。
また、まれに別の神経疾患などが背景にある場合もあるため、医療機関で原因を確認することが重要です。
疲労やストレスによって症状が強くなることはありますが、顔面けいれんの原因がすべてストレスというわけではありません。
まず医療機関で原因を確認することが大切です
片側顔面けいれんが疑われる場合、医療機関では症状の経過や神経の状態を確認し、必要に応じてMRIなどの検査を行います。
病院で行われる主な治療には、ボツリヌス毒素製剤の注射、薬物療法、微小血管減圧術などがあります。
ボツリヌス毒素製剤の注射は、けいれんを起こす筋肉の働きを一時的に抑える治療です。
また、血管による顔面神経の圧迫が確認され、症状や治療経過によって必要と判断された場合には、手術が検討されることもあります。
どの治療が適しているかは、原因や症状の程度、全身状態などによって異なります。
当院の鍼灸——独自に体系化した「十字刺法」
中国鍼灸・健身院では、顔面けいれんに対して、当院が独自に体系化した「十字刺法(じゅうじしほう)」を用いて施術しています。
十字刺法とは、症状の中心となる一点を軸に、上下・左右の四方向から鍼を施す方法です。
中医学では、経絡や気血の巡りを重視します。
当院では、この考え方をもとに、けいれんしている場所を強く刺激するのではなく、周囲から穏やかに働きかけ、顔面部の筋緊張や過敏な反応を整えることを目指しています。
顔面けいれんの施術では、原則として電気パルスを使用しません。
刺激量を細かく調整できる手技を中心に、一人ひとりの症状に合わせて施術します。
ただし、顔面けいれんに対する鍼灸の効果には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。医療機関での診断や標準的な治療に代わるものではなく、補完的な選択肢としてご相談いただけます。
顔だけでなく、全身の状態も確認します
当院では、顔面けいれんの施術にあたり、症状が現れている部位だけでなく、日常生活や全身状態も丁寧に確認しています。
- けいれんが出る部位・頻度・強さ
- 発症からの期間と症状の変化
- 医療機関での診断内容や現在の治療
- 睡眠や疲労、ストレスの状態
- 首肩の緊張や冷えなどの全身状態
- 刺激量に配慮した鍼灸施術
顔面けいれんをはじめとする神経系疾患は、当院が長年取り組んできた専門領域の一つです。
医学博士の姚依文副院長は、中国で顔面神経麻痺などの神経系疾患の臨床経験を積み、来日後も顔面けいれんを含む神経系症状に長年取り組んできました。
臨床経験をもとに、症状の経過や体調を確認しながら、一人ひとりに合わせた施術方針を考えています。
日常生活で気を付けたいこと
疲労やストレス、睡眠不足などは、まぶたのピクつきや顔面けいれんを強く感じる要因になることがあります。
日常生活では、次のようなことを心掛けましょう。
- 十分な睡眠と休息を取る
- 長時間のパソコン作業では適度に目を休める
- カフェインやアルコールを摂りすぎない
- 無理のない範囲で体を動かし、気分転換をする
- 顔を強くこすったり、無理に刺激したりしない
これらは日常の負担を減らすための工夫ですが、血管による神経の圧迫など、顔面けいれんの原因そのものを解消するものではありません。
症状が続く場合は、早めに相談しましょう
まぶたのピクつきが一時的なものであれば、休息によって落ち着くこともあります。
しかし、2週間以上続く場合や、片側の頬・口元まで広がる場合、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関で確認することをおすすめします。
- 突然の顔の麻痺や手足の脱力、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、救急受診が必要です。
- 激しい頭痛、急な視覚異常などを伴う場合も、速やかに医療機関を受診してください。
- 現在受けている病院での治療を、自己判断で中断しないでください。
中国鍼灸・健身院では、病院での診断・治療を尊重しながら、鍼灸による補完的なケアをご希望の方のご相談を承っています。
執筆:副院長 姚依文