腱鞘炎(バネ指)

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スマホの使い過ぎで増えた現代病

腱鞘炎は正しくは狭窄性腱鞘炎といいます。指を曲げる腱を覆っている「さや」が繰り返し機械的な刺激を受けることによって炎症を起こした状態をいいます。ピアニストや美容師、長時間パソコンやスマホを使っている方、編み物をよくする人などが罹りやすく、職業が直接の原因になることが多いためなかなか治りにくい疾患です。

当院では、仕事を続けながら治していくのが基本です。鍼で筋肉にある固まりをほぐし血行を改善、痛みや炎症を抑えます。症状に応じて灸を使った治療もしています。

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腱鞘炎(狭窄性腱鞘炎)とは

手の親指を曲げ伸ばしする働きを担っているのが2本の「腱」です。この腱は手首の内側(親指側)でトンネル状の鞘(腱鞘)に覆われていて、この腱鞘が腱が滑らかに動くようにする役割を果たしています。ベルト(腱)とベルト通し(腱鞘)の関係を想像するとわかりやすいかもしれませんね。
親指を使い過ぎることで腱と腱鞘の間に摩擦が生じ、炎症を起こすのが腱鞘炎です。腱鞘が腫れてベルト通しが狭くなり、ベルトが動くときに引っかかることから、狭窄性腱鞘炎とも呼ばれるわけです。指を激しく使うピアニストや美容師に目立つ疾患でしたが、近頃はスマホの操作に親指を激しく動かしたのが原因で腱鞘炎になる人が増えており、そういう意味では〝現代病〟とも言えます。腱鞘炎は親指の付け根が腫れて痛むことから識別しやすい疾患ですが、放置して悪化すると“バネ指”と呼ばれる症状に至ることが少なくありません。これは腱鞘が肥大化して腱が引っかかることで生じる症状で、指を伸ばすときバネのように急に伸びたり、逆に指が動かなくなったりしてしまいます。

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腱鞘炎の症状

狭窄性腱鞘炎は発症当初は痛みも少なく、朝起きたとき、あるいは休息後に仕事を再開しようとしたときに、親指の動きが少し鈍く感じられる程度のこともあります。それが日に日に痛みが増し、親指から手首、場合によっては腕、肩にまで達します。さらに症状が悪化すると、突然、刺すように痛みしたり、患部の灼熱感やかゆみを感じたりします。指に力を入れることができなくなる、指を曲げることができなくなるなどの症状が出ることもあります。 前に述べたバネ指は親指に起こることが多いのですが、中指にも多く、ときには他の指に生じることもあります。

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健身院での鍼灸治療

当院の狭窄性腱鞘炎に対する治療原則は、「舒筋活血」と「散結止痛」です。筋肉にある固まりをほぐして血行を改善し、痛みや炎症を押さえようというものです。治療に使うツボは陽渓(手首にあって親指を伸ばしたとき凹みができる場所)、列缺(手首の親指側で骨が出ている場所)、曲池(肘関節の内側にある凹み)、阿是穴(特に痛むところ)などです。バネ指の場合は、羅患期間が短い患者様だと5回以内の治療で治ることが多いようです。
また、当院では、灸を使っての腱鞘炎治療も行なっています。腱鞘炎に灸療法が有効であることは知られていますが、当院では生姜の薄切りの上にもぐさを載せて使う生姜灸、毒草として知られるトリカブトを体を温めるために役立てる附子灸などを使用します。