顎関節症

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軽い症状なら1〜5回の治療で完治します

顎関節症は、あごが痛む、口を開けることができない、あごを動かすとカックンと音がするなどの症状が出る病気です。20~40歳の女性に多く発症しますが、疫学調査によれば人口の7〜8割が顎に何らかの症状を抱えているそうです。神経質な人や日常生活でストレスにさらされている人、食事のとき片側で噛む癖がついている人、歯ぎしりをする人によく起こります。

当院にいらっしゃる患者様のほとんどは歯科などで治療を受けても治らない方です。顎の動きをスムーズにすることを最優先に、電気鍼や灸を組み合わせた治療を行ない、効果を上げています。

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顎関節症の症状と原因

顎関節症の主な症状は、顎関節の痛み、あごを動かすときのカックン、コックンといった異音、口を開くことができなくなることで、これを顎関節症の三大症状と呼んでいます。一般的には左右のどちらか片側に起き、ひどくなると硬いものが食べられなくなり、痛みも頬やこめかみにまで広がります。めまいや頭痛が起こることもあります。原因は長期にわたる咬合異常や筋肉の緊張によって顎関節が損傷し、関節周辺の炎症や、靭帯の緩みを生じるためだと考えられています。

当院にいらっしゃる顎関節症の患者様を分析してみると、筋性の顎関節障害が目立ちます。これは子どもの頃から食事のときに片側だけで咀嚼する習慣があることや、最近の食べ物は柔らかいものが多くしっかり噛む必要がないため、咀嚼筋の鍛え方が足りないまま大人になったのが原因のように思われます。命に関わるような病気ではありませんが、一般的に病期が長く、繰り返し起きることが多いため、日常生活に支障が出るようであればきちんとした治療を受けるべきです。

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顎関節症の治療

顎関節症の原因がはっきりしている方、例えば虫歯や歯周病、合わない入れ歯、外傷などによって症状が出ている方は、その原因を除去することで症状がかなり改善します。しかし、なかには、歯科や整形外科で各種の治療を繰り返しても、思ったようには症状が改善しないという方もいらっしゃいます。こうした患者様は、器質的、機能的な異常が見いだせない場合が多く、西洋医学では「不定愁訴」という診断の下に片づけられてしまいがちです。このようなケースに効果を発揮するのが鍼灸などの東洋医学(中国医学)です。鍼治療や灸、整体などは、原因がはっきりしない場合でも、まず痛みを取り除き、動作の改善を図ることができるからです。

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健身院の治療の特徴

顎関節症が起こる部位は顎関節周辺と咀嚼筋の周辺です。これはツボでいえば下関や頬車に近く、人体に十二本の経絡(気の通り道)があるとする中国医学の考え方では「足の陽明胃経」に属する病症になります。治療方針としては、筋肉の気や血の流れを促進し、顎関節の動きをスムーズにすることを最優先に、下関や頬車の他、阿是穴、嚼中、聴宫、合谷などのツボを使います。

健身院のスタッフは、こうした運動系の病気を鍼灸で治療してきたキャリアが長く、顎関節症に対しても嚼中穴など新たなツボを開発して治療効果を上げています。電気鍼やツボとツボを鍼でつなぐ透針刺法、あるいは灸を用いるなどして、軽い症状であれば1~5回、症状が重い場合でもほとんどの方が6~10回の治療で完治します。

治療実例─1

患者32歳女性(会社員)

病名顎関節右あごの痛み

症状8年ほど前から顎関節症を発症し、時々右あごが痛むようになりました。歯科医院で診察を受けましたが、特に異常は見つからなかったということです。痛みがひどいときには薬をもらって飲むなどしてなんとか過ごしてきたのが、最近、仕事の締め切りに追われ、忙しい日が続いたところ、痛みがひどくなりました。鍼治療が顎関節症に効くと聞き、試しに来院したとのことでした。

診断と治療経過:問診の結果、患者様が就寝時によく歯ぎしりをしていたことがわかりました。また、最近は肩こりがひどいといいます。切診(触診)では、下関穴や嚼中穴の周辺に押すと痛みを感じる圧痛点がありました。歯ぎしりに仕事の緊張、疲れが手伝って、顎関節の周辺に慢性の炎症が起こっていると判断しました。一回目の治療では、下関、頬車、嚼中、合谷、百会、背兪穴などのツボを使い、阿是穴に灸をしました。最初の治療で右あごの痛みがなくなり、口を開くのが楽になりました。効果をより確実なものにするため、三回連続で治療をしたところ、長年悩まされていた右あご痛が完全に消え、肩こりも解消、 夜もよく眠れるようになったそうです。

顎関節症の患者様は、寒冷の刺激を避け、硬いものを噛まないようにするなど生活習慣上の注意も必要です。そのうえで、症状が悪化しないよう、できるだけ早い時期に当院にご相談ください。