腰椎間板ヘルニア

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鍼で血液循環を改善、痛みを緩和します

腰椎間板ヘルニアは、 加齢や激しい運動などが原因で腰の椎間板が外に飛び出た状態をいいます。はみ出した椎間板が周りの神経や血管などを圧迫し、激しい痛みやしびれを引き起こします。青壮年に多く見られ、右腰よりも左腰に多く発症することが知られています。腰椎間板ヘルニアには鍼治療が有効で、当院が特に得意とする疾患のひとつです。毫針(ごく細い鍼)を使ってツボを刺激し、 その後に電気パルスをかけて治療します。

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腰椎間板ヘルニアの症状

腰椎間板ヘルニアを発症する患者様の多くはぎっくり腰や慢性腰痛の経験があります。激しい運動の後などに急性腰痛を生じ、治療や休息でいったん痛みが治まるもののその後再発するという繰り返しが本病を誘発します。腰椎間板ヘルニアを発症するとまず腰痛やぎっくり腰のような症状が現れ、続いて片側の腰の背骨のきわに激しい痛みが生じます。症状が重くなると歩行困難となり、座ったり寝たりすることさえ苦痛を伴うようになります。咳やクシャミ、大便によっても苦痛が激しさを増すのが特徴です。腰椎間板ヘルニアに伴う主な症状は次の通りです。

(1)坐骨神経痛ー疼痛は臀部から始まり、太ももの裏側や膝の裏側、足の甲、足の裏にまで達します。患者は痛みを軽減するため、前かがみの姿勢で歩くことが多くなります。病状を長引くにつれて、下腿部の疼痛が主な症状になります。

(2)活動障害ー多くの患者は痛みを軽減しようとして次第に姿勢が歪んできます。ヘルニアが神経根の外側にあるときは上半身が健康側に傾き、神経根内側にある場合は患部側に傾きます。次第に体の後屈が難しくなり、ときには前屈さえ自由にできなくなることもあります。

(3)下肢のしびれや筋力低下ー長く腰椎間板ヘルニアを患っている患者は、ふくらはぎや足の甲にもしびれがおよび、足が冷たくなります。 時にはむくみが出現したり、足の親指に力が入らず、爪先立ちできなくなることもあります。

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椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療法には手術療法と保存療法があります。西洋医学の場合、外科手術を伴わない保存療法としては、鎮痛剤の服用や温熱療法、牽引、神経ブロック注射などが中心になります。こうした保存療法が効かない場合は手術やレーザー光線によって治療しますが、手術療法には一定のリスクがつきまとうのは否定できません。一方、大多数の患者様は中国医学の保存療法で治すことができます。 なかでも鍼灸療法は、局部の血液循環を改善し、痛みを抑え、しびれ等を取り除くとともに、人体が本来持っている免疫力をアップし、損傷した組織を修復するのが目的です。

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健身院での治療実例

健身院では、まず「毫針」(極めて細い鍼)を用いてツボを刺激し、 その後に電気パルスをかけて治療します。必要に応じて灸や吸い玉を組み合わせます。

治療実例─1

患者55歳女性

病名腰椎間板ヘルニア

症状左臀部から太ももの裏にかけて痛みが3ヶ月以上続いていました。仕事が忙しくなって疲れがたまり、左尻から太ももの裏に痛みが出始めました。長く座ると痛みが強くなり、仕事にも支障が出ています。十年ほど前に病院で腰椎間板ヘルニアと診断されたことがあるそうです。

診察と治療経過:来院時には痛みがかなり強く、上半身が右側に傾いている状態でした。腰の屈伸が思うようにできません。10年前の腰椎間板ヘルニアの再発と判断し、鍼と整体の併用で治療することにしました。初回の治療で早くも痛みが軽くなり、連続3日の治療を行なったところ、太ももの裏の痛みが消え、左のお尻の痛みも半減しました。その後は一日置きで治療をして8回目には痛みがほとんどなくなり、姿勢も真っ直ぐになりました。以降は腰痛を予防するため、二週間に一度のペースで通院中です。

治療実例─2

患者33才男性

病名腰椎間板ヘルニア

症状一ヶ月前から腰が痛み出し、徐々に痛みが腰から左下肢に広がり、咳やくしゃみをしただけで激痛が走るようになりました。この患者様は、整形外科を受診したところ、腰椎間板ヘルニアと診断されました。薬や腰椎牽引などの治療を受けましたが、あまり痛みは改善されませんでした。当院にいらっしゃったときには、まっすぐに歩けなくなっており、姿勢も右側に歪んでいました。左側の関元,環跳、殷門、委中などのツボを押すと痛みを感じるという状態でした。

診断と治療経過: 鍼治療を一日一回、5日連続で行いました。初回の治療で痛みがかなり軽減し、翌日に来院されたときには、腰がまっすぐになっていました。しかし、腰を前に曲げると腰と太ももに痛みが走ります。5回の治療で、腰と左下肢の痛みがほとんどなくなりました。その後は週二回のペースで二週間の鍼治療を続けた結果、症状がすべて消えました。

治療実例─3

患者31歳女性

病名腰椎間板ヘルニア

症状咳をするたび腰に烈しい痛み。椎間板ヘルニアに起因すると思われる座骨神経痛がありました。この患者様は病院で腰椎間板ヘルニアと診断され、神経ブロック注射などの治療を受けました。しかし、一向によくならないどころか痛みが増すばかりでした。幼いお子さんがいらっしゃるために、毎朝、お弁当を作らなくてはならず、まともに休むことさえできない状態でした。そのため、治療をしても腰痛が治らなかったとも考えられます。腰が痛くて横になるのもつらく、どうしようもなくなって入院する寸前に、ご友人の紹介で当院にいらっしゃいました。

診断と治療経過:来院されたときには本当につらそうでしたので、まずは痛みの軽減を最優先に治療しました。咳止めのツボに鍼を打つことで、治療中に咳が出ないようにしました。治療の結果、少し楽になったということで、二日目にいらっしゃったときには、昨夜は久々にゆっくり眠ることができたとのお話でした。2回目の治療からは、鍼と同時に推拿(中国整体)も取り入れました。鍼治療には消炎鎮痛作用がありますが、整体を取り入れることによって血液の循環もよくなります。この患者様の場合、4回の治療でほぼ痛みが取れて、咳も出なくなりました。その後は、症状を安定させ再発を防ぐために通院していただきましたが、8回目ですっかり落ち着いて、再発もないまま現在に至っています。