間質性肺炎

 

 

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咳や息切れを軽減し、呼吸を楽にします

間質性肺炎は肺の間質が炎症を起こす病気です。

「間質」とは呼吸の役割を果たす「肺胞」の壁のことで、この間質が硬くなると、肺の膨らみが悪くなってスムーズな呼吸に差し障ります。通常の肺炎は肺胞そのものの炎症なので、そこが違っています。当院では、平衡鍼灸学特有のツボ「肺病穴」などを使った鍼治療によって咳や息切れを軽減、肺活量の増加を図ります。治療には時間がかかりますが、鍼で治すことができます。
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間質性肺炎とは…

間質性肺炎は、呼吸不全や呼吸困難が主な症状で、咳が出るものの痰を伴わないのが特徴です。吸入性疾患や気道疾患、膠原病、心臓病、悪性腫瘍などが引き金となって起こります。抗がん剤など薬剤の副作用として起きることも知られています。間質性肺炎が進行すると肺繊維症となって、治療は困難になります。

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間質性肺炎の鍼治療

間質性肺炎を鍼で治療する目的は、炎症を抑え、肺組織の繊維化の進行を遅らせることです。人体の「気・血・水」の循環がよくなると、呼吸が深く穏やかになって、肺の隅々に酸素や血液がいきわたります。鍼治療の後に呼吸が楽になったと感じられるのはこのためです。

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健身院の鍼灸治療の特徴

当院では鍼治療によって咳や息切れを軽減、肺活量の増加を図ります。発症してからの年数にもよりますが、通常は3ヶ月から1年の継続的な治療が必要です。治療中の風邪や病原菌の感染などが原因で、症状が急激に悪化する場合があるので注意が必要です。患者さん自身の生活習慣の改善が必要となることもあります。

当院で間質性肺炎の治療に使う代表的なツボをご紹介しましょう。まず腕にある「肺病穴」で、これは平衡鍼灸学特有のツボです。平衡鍼灸学とは、1960年代、北京軍区総医院の王文遠教授が伝統的な中国医学に西洋医学の神経学を採り入れ、延べ数万人にも及ぶ臨床実験を行なって確立したものです。

当院ではその最新の成果を間質性肺炎の治療に応用しています。さらに首の後ろにある「定喘」というツボも使います。通常、ツボの多くは気の通り道である経絡上にあるのですが、この「定喘」は経絡から外れたところで発見された「経外奇穴」と呼ばれるツボで、特効があることで知られています。そのほか、様々な肺の病に効果がある肺兪、尺沢、腎兪、中脘、関元などを用います。

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間質性肺炎を予防するために

◎日頃から深呼吸を心がけましょう。無理のない程度に背筋を伸ばし、口を閉じて舌の先を上の前歯の裏に軽くつけます。10秒かけて鼻から少しずつ息を吸い、胸と腹がいっぱいになった状態で5秒ほど息を止めます。続いてゆっくり10秒以上かけて息を吐くようにしましょう。これを10セット繰り返します。毎日3回から5回行なうのが効果的です。

◎日中は適度に体を動かし、散歩などをするよう心がけましょう。夜はゆっくり入浴してリラックスします。夜更かしは避けるようにしましょう。カフェインを含む飲み物や、香辛料など刺激の強いものは控えます。

◎季節の変わり目、特に秋から冬にかけては、風邪を引かないように注意してください。

治療実例─1

患者61歳、男性

病名間質性肺炎

症状息切れ、咳が半年続いています。

患者は2021年夏にコロナに感染し、症状は薬で治まりましたが、その後乾性咳(痰がない)が続き、また階段を登ると息切れを感じます。同年11月に病院で間質性肺炎と診断されました。その後、息切れの症状が悪化し、時々酸素吸入機を使用するようになりました。薬を服用していますが、鍼灸でも改善できればと思い、2022年1月に当院を受診しました。

症状と所見:乾いた咳、息切れ、盗汗(寝汗)、不眠、腰膝のだるさと力の低下があります。

舌脈所見:舌が赤く、舌苔が少なく、脈は細く数が多いです。

中医診断:間質性肺炎(肺腎陰虚型)

治療方針:肺腎の陰を補い、清熱をはかります。主に手太陰経と足少陰経の穴を使用し、針を使って補法を施します。

治療経過:最初は1日おきに3回、その後週に2回のペースで約3ヶ月通い、咳が減り、息切れも軽くなり、夜の睡眠時間も5〜6時間眠れるようになりました。酸素吸入の頻度も減りました。現在も月に2回通院しています。