胃潰瘍と 十二指腸潰瘍

 

 

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当院独自のツボ刺激で痛みを和らげます

胃潰瘍、十二指腸潰瘍は、胃の粘膜に生息するピロリ菌が原因で起こることが多く、また過度のストレスも大いに関係します。胃液中の塩酸やペプシンにより、胃や十二指腸を保護する粘膜が消化され、みぞおちあたりに痛みを感じ、場合によっては吐血・下血を起こします。現代社会の代表的な病気のひとつですが、健身院では、中国と日本での豊富な治療経験から独自のツボの刺激法を発見。痛みを抑え、症状を和らげることに顕著な効果をあげています。

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胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状

胃潰瘍、十二指腸潰瘍は、両者を一括して「消化性潰瘍」とも呼ばれる病気です。罹患すると次のような症状が現れます。

●みぞおち周辺の痛み

胃潰瘍は食後に痛み出すことが多く、特に食事の量が多すぎると長時間にわたって痛みが続きます。空腹時に腹痛が起こり食事をすると治まる場合は、十二指腸潰瘍が考えられます。注意しなければならないのは、痛みの強さが必ずしも病状の深刻さを意味しない点です。ほとんど痛みを感じず放置しておいた結果、潰瘍が悪化し胃に孔が空き「穿孔性潰瘍」になって初めて激痛を生じるケースもあります。

●吐き気、口臭、酸いげっぷ、胸やけ、食欲不振、体重減少

刺激性を持った胃液と胃を保護する粘膜とのバランスが崩れると、吐き気などの症状が現れます。胃酸が食道に逆流すると胸やけを感じます。こうした症状が続くと食欲不振に陥り、体重が減少します。

●吐血

胃潰瘍の場合、胃酸によってどす黒くなった血を吐血します。潰瘍ができた場所の血管が破れて起こります。出血時には冷や汗、脈拍の乱れ、血圧低下、激痛を伴うことがあります。真っ赤な血を吐く場合は、肺や気管の疾患が原因の喀血なので区別する必要があります。

●下血

胃潰瘍や十二指腸潰瘍が原因で血が混じったどす黒い便がでます。

●腰痛、背中の痛み

腰痛を訴えて当院にいらっしゃった患者様を診察してみると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が原因だったケースもあります。背中まで痛みが広がっている場合は、膵臓に炎症が及んでいる可能性があります。

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胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因

以前は男性に多い病気でしたが、最近は更年期の五十代の女性にも増え、若い人の発症率も高くなってきました。消化性潰瘍の原因の60〜70%まではピロリ菌の感染だといわれていますが、一方でストレスや、喫煙、飲酒など生活習慣も大きく関係しています。主な原因は次のようなものです。

(1)ピロリ菌の感染

(2)イライラ、過労、睡眠不足、手術前などの肉体的・精神的ストレス

(3)刺激の強い香辛料や熱すぎたり冷たすぎたりする飲食物の長期間にわたる継続的な摂取

(4)喫煙、飲酒、コーヒー

(5)暴飲暴食、早食いなど不規則な食生活

(6)痛み止めやステロイドなど作用の強い薬の長期間にわたる服用

長く臨床に携わってきた経験からいえば、やはり消化性潰瘍を起こしやすいタイプの方というのはいらっしゃいます。神経質、几帳面で気が利く、その一方で自分でストレスをため込んでしまう、悩みや責任を一人で抱え込むなどの性格の方はかかりやすいようです。性格を変えることはなかなか難しいので、自分にあった気分転換の方法を見つけることが大切です。

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胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療

胃潰瘍や十二指腸潰瘍にかかっても、最近ではほとんど手術をせず、薬で治療をするようになりました。一般的には2〜3ヶ月の治療でよくなります。こうした薬物療法のほか、鍼灸治療にも症状軽減の効果があります。可能であれば病院の薬物療法と鍼灸治療とを併用して、より早い治癒を目指すことをお勧めします。

中国医学では、消化性潰瘍は「胃痛」の範疇に属します。「胃痛」は心窩部(みぞおち)付近の疼痛を主症とする病症です。中国の古典医書【鍼灸経綸】には、「胃痛あらば、膈兪、脾兪、胃兪、内関、陽輔、商丘、すべてに灸す」という記載があります。膈兪以下はツボの名前で、古い時代から鍼灸治療が行われていたことを物語っています。最近では、動物実験や鍼灸治療の潰瘍の癒合についての臨床研究などが盛んに行われ、西洋医学の観点からも鍼灸治療の効果が証明されつつあります。

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健身院の治療の特徴

健身院の鍼灸師はともに中国の病院での臨床経験があり、日中両国で既に三十七年ものあいだ消化性潰瘍の鍼灸治療を手がけてきました。その経験から独特のツボの刺激法を発見して毎日の治療に生かしています。

また、当院では、中国古来の鍼灸術に西洋医学の神経学の成果を導入した最新の「平衡鍼灸学」を採用し、平衡鍼灸学によって新たに発見されたツボを積極的に使用しています。上腹部の痛みを抑えるのに特効がある胃痛穴(平衡鍼灸学特有のツボ)のほか、胃兪、足三里を主要なツボとし、症状に相じたツボを加えて治療にあたります。

中国医学では、まず症状を分析して治療方針を立てます。これを「弁証論治」と呼んでいますが、消化性潰瘍の場合も症状によっていくつかのタイプに分類し、それぞれ違うツボを使って治療します。

(1)肝気犯胃型

このタイプの典型的な症状は、みぞおちの痛みが脇腹にまで及び、酸っぱいゲップが出て、ときに嘔吐をします。イライラを感じるときに痛みがひどくなり、食欲不振、便秘などの症状も出ます。治療には、前記の主要なツボに加え、期門、公孫、内関というツボを使用します。

(2) 肝胃鬱熱型

このタイプは特に痛みがひどく、みぞおちあたりが熱っぽく感じられ、口の中に苦みが広がって、のどが渇きます。怒りっぽくなり、便秘、尿の色は赤黄色。肝兪、太衝、内庭のツボを加えて治療します。

(3)胃陰虚損型

痛みはそれほど激しくはありませんが、食後に胃が膨れ上がったように感じられます。のどが渇き、ひどい便秘を伴います。脈をとると細く、早いのも特徴です。脾兪、内関というツボを加えて治療します。

(4)脾胃虚寒型

みぞおちの痛みは温めると緩和され、痛む場所を指で押しても楽になります。空腹の時は痛みがひどく、食事をすると楽になります。このタイプの場合は便秘ではなく、下痢気味になるのが特徴です。脾兪、中脘、内関のツボを加えて治療します。

鍼灸治療は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対して顕著な止痛効果を発揮します。一定期間、鍼灸治療を継続することで効果も持続しますので、生活習慣の改善にも気を配りながら根気よく治療されるようにお勧めします。