頚椎症

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臨床研究によれば95%が鍼で治癒

最近、中国で、頚椎症に関する論文が発表されました。上海中医薬大学病院で行われた臨床研究で、頸椎症患者の95%は 鍼治療で治すことができたというものです。

頚椎症とは、頚椎(首の骨)と頚部軟組織が、老化、過度のスポーツ、事故、姿勢の悪さなど様々な要因で変形し、神経根や血管、脊髄が圧迫されることで、痛みや凝り、しびれなどを生じる病気です。もともと中高年の方に多く見られますが、近年は発病年齢が若くなってきています。外科手術をせずに治すことができる鍼灸は頚椎症の最も有効な治療法といえます。

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頚椎症の症状

頚椎症の進行は緩やかで、初期症状はときどき首や肩、肩甲部に痛みと凝りがある程度です。病気の進行につれて症状がだんだんひどくなっていきます。健身院では、経験的に頚椎症の症状を6つに分類しています。

(1)首型ー首や肩、肩甲部の痛みが主な症状です。多くは左右どちらかにのみ発生し、“寝違え”の症状と似ています。疼痛、鍼に刺されたような痛みが続き、首が動かしづらく、無理に動かすと痛みが増します。痛みは首から肩、上腕部に及びますが、腕のしびれはありません。発症してから時間が経つと、首をまわすときにボキッと音が出ることがあります。

(2)神経根型ー主要症状は神経根性の疼痛で、第五頚椎より上が変形している場合は頚肩部あるいは後頭部から肩までの痛みが現れます。第五頚椎より下の場合は首が硬直して動かせる範囲が狭くなり、患った側の腕がだるく、力が弱くなり、冷えやしびれ、手でものを持てない等の症状が現れます。

(3)脊髄型ー椎体後縁に増生した骨や変性した椎間板が脊柱管内で脊髄を圧迫し、脚や腕の感覚障害、運動障害が起きます。症状は運動障害、歩行障害のほか、場合によっては排尿障害、排便障害が生じることもあります。 脊髄型の頚椎症は一般に病程が長く、進行は緩慢です。首にはほとんど症状が現れません。

(4)椎間動脈ー型異常成長した骨棘が椎骨動脈を圧迫し、椎骨動脈がけいれんしたりすることで、首周辺の痛み、めまい、悪寒、嘔吐、難聴や耳鳴りなどの症状が現れます。こうした症状は首を動かす動作に誘発されて起こります。

(5)交感神経型ー頚椎が老化に伴い変形し、頚部交感神経を刺激すると、後頭部の痛みやめまい、片側の瞳孔散大や皮膚の温度低下、局部的多汗症や少汗症、動悸、胸苦しさなどの症状が現れます。

(6)混合型上記(1)~(5)のうち、同時に二つないし、それ以上の症状が起こるものです。

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頚椎症の原因

首は人体の中でも特に頻繁に動かし、可動幅も大きく、負担がかかる場所です。常に緊張状態にあって疲労や凝りが起こりやすいのです。こうした負担が原因で、頚椎椎間板の加齢による変形は三十歳ぐらいから始まると言われています。中高年になるにつれて椎体骨の骨質が増えて棘のようになったり、椎間のすきまが狭くなったりの病理的な変化が現われ、頚椎症の諸症状を誘発し、悪化させます。

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健身院における頚椎症治療

頚椎症の治療には、脊髄型を除いて、鍼灸治療が効果的です。お客様によく訊かれるのですが、基本的に老化現象であるはずの頚椎症がなぜ鍼灸で治るのでしょうか?…要所に鍼を打つことで骨棘による神経根、脊髄、椎骨動脈の圧迫を軽減し、炎症を治して血液循環を改善することで痛みの原因となる物質を流し去るのです。老化が原因でできた骨棘等を除去することはできませんが、苦しい症状を取り除くことは充分可能です。

治療実例─1

患者50歳男性(会社役員)

病名頚椎症

症状半年前から左の指がしびれる。病院で頚椎症と診断され、湿布や鎮痛剤の服用、首の牽引を3ヶ月にわたって継続。痛みは多少軽減したものの完治せず。

診察と治療経過:このお客様は健身院にいらっしゃったとき、首を自由に動かすことができず、特に頭を左後ろ側に倒そうとすると、左の首から肩関節にかけてと左手の小指側に痛み、しびれが強くなっていました。このような症状から、第8頚椎の頚神経根型頚椎症だと診断しました。治療は、健身院の特徴でもある鍼と整体術を融合した方法で行なうこととしました。初日の治療は天柱、七頚、肩外兪、肩髎などのツボに刺鍼し、首や肩の筋肉の緊張やけいれんを軽減、痛みを鎮めるとともに、整体術で頚椎椎間隙を広げ、周囲の血液循環を促進しました。施術後は首の動きが楽になり、痛みやしびれも軽くなりました。その後は3日連続で同じ治療を行ない、痛みとしびれがほぼ半減。5回目からは1日置きにして、全部で15回の治療を行ないました。小指のしびれは少し残りましたが、首を不自由なくまわせるようになり、痛みもなくなりました。

治療実例─2

患者42歳女性

病名頚椎症

症状交感神経型頚椎症

診断と治療経過: この患者様はある日突然、右手にしびれを感じるようになりました。続いて右頭部から顔にかけてもしびれが出、足がひどく重く感じられました。慌てて病院で頭部MRIを撮ったのですが、「異常なし」との診断でした。しかし、症状は一向に改善せず、やがて目に違和感が出始めました。頭痛とめまいがあり、厄介なことに夜は目が冴えて眠れなくなったといいます。手足が冷える感じもありました。同時多発的に襲ってくる諸症状に悩まされ、今度は内科に行ったのですが、そこでは心療内科の受診を勧められました。そうして訪ねた心療内科で処方された薬は、精神安定剤と睡眠薬、精神安定剤でした。薬を服用した後は朦朧としますが、その一方で神経が興奮して落ち着かなくなる感じがありました。自律神経失調症ではないかということで、当院で鍼治療を試してみることにしました。

ところが、何度か鍼治療をしたのですが思いのほか症状の改善が見られません。あらためて自覚症状を聞き出したところ、首の右側全体に強いこわばりがあるとのことでした。交感神経型頸椎症の疑いが濃厚だと判断し、首にある風池や天柱などのツボにも鍼を打つことにしました。この方法で何度か治療を続けたところ次第に症状が軽快、眠れるようになり、しびれも収まりました。

交感神経型頚椎症は四十代になってから発症することが多い病気です。原因は加齢による頸部筋肉の衰え、椎間板の退行性病変などですが、けがが原因で頸椎が圧迫されて起こることもあります。症状は多彩で交感神経の興奮が見られることが多いのですが、 稀に交感神経を抑制することもあって見極めが難しい病気です。次のような症状が頻繁に見られるときは交感神経型頸椎症が疑われますので、お早めに当院にご相談ください。

1.頭痛や偏頭痛、頭が重い、めまいがする

2.顔が熱っぽく、顔面にしびれを感じる

3.視界がぼやける、眩しさを強く感じる

4.眼球が痛く膨れ上がり、瞳孔拡大

5.鼻詰まりや喉の痛み、喉が乾きやすい

6.体が冷えやすく汗をかきやすい、あるいは汗をかきにくい

治療実例─3

患者35歳男性

病名頚椎症

症状左首、左肩上腕の痛み、左手の親指と人差し指のしびれ、頭が重く、夜は寝た気がしない。

診断と治療経過:鍼と整体、吸い玉を併用して治療しました。最初の治療で、夜間の痛みが減って、眠れるようになったというお話でした。3回の治療で首の動きがよくなり、肩甲骨の内側の痛みも軽減されました。10回の治療で、指のしびれもかなり良くなりました。このお客様はお仕事がデスクワークなので、首や肩が凝りやすくなっています。現在は疲れが溜まってきたと感じると、当院に通っていらっしゃいます。

健身院では、鍼と灸、吸い玉、推拿(整体)などを組み合わせて、それぞれの患者様にとって一番効果的な治療を行なっております。頚椎症にお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。