睡眠特集・第1回
夜更かしは不健康な生活習慣――この点に異論を唱える人は少ないでしょう。
しかし実際に「夜更かしが体にどのような悪影響を与えるか」について、十分に理解している人は意外と少ないようです。
健身院にも、「疲れやすい」「集中できない」「気分が落ち込む」「眠りが浅い」と訴える方が多く来院されます。詳しく伺うと、ほとんどの方に“夜更かしの習慣”があります。つまり、原因の多くは睡眠不足による自律神経の乱れなのです。
初期の段階で生活リズムを整えれば、体調は比較的早く回復します。
しかし夜更かしを続けると、内臓機能の低下や免疫力の衰えが進み、風邪を引きやすくなったり、胃腸の不調・肌荒れ・不眠・気分の落ち込みなど、次々と不調が現れてきます。
特に女性では、ホルモンバランスが崩れて太りやすくなったり、生理不順・シミなども増えてきます。
夜更かしは現代社会の“静かな健康リスク”
リモートワークやSNSの普及により、夜遅くまでスマートフォンを手放せない人が増えています。
メールや動画、SNSの通知に追われる“デジタル夜更かし”は、今や多くの日本人が抱える社会的問題です。
本来、睡眠は体と心を修復する「自然の薬」。
それを削ることは、知らぬ間に健康貯金を使い果たすようなものです。
中医学から見た夜更かしの影響と鍼治療
東洋医学では、夜更かしを続けると「気」と「陰」が消耗し、体に“虚熱(きょねつ)”がこもると考えます。
エネルギーが不足しているのに、頭だけが興奮状態――これが不眠、イライラ、肌荒れなどの原因です。
健身院の鍼治療では、この「気血の乱れ」や「自律神経のアンバランス」に直接アプローチします。
深層まで届く中国鍼で、交感神経の過緊張をゆるめ、体内リズムを整えることで、
・眠りの質の改善
・疲労回復
・ホルモンバランスの調整
が期待できます。
夜更かしをやめるのは難しくても、体の回復力を取り戻すサポートは可能です。
夜更かしで乱れた体を内側から整える養生法:
夜更かしで疲れた体には、鍼治療と合わせて次のような薬膳・お茶もおすすめです。
① 疲労回復粥
黒ごま15g・ピーナッツ20g・もち米50gをお粥に。
疲れやすい方は黄耆(こうぎ)顆粒を加えると気と血を補い、体が軽くなります。
② 風邪予防茶
紫蘇の葉と陳皮を各9g。熱湯で煎じて飲むと、風邪予防や胃の不調にも◎。
朝のだるさには少量の薄荷を加えても良いですが、胃が弱い方は控えましょう。
③ 安神(あんじん)茶
茯苓・竹葉・丹参・霊芝を煎じ、少しの氷砂糖を加えて。
心を落ち着かせ、日中のストレスを和らげます。
最後に
「ショートスリーパー」という言葉が話題ですが、実際に睡眠を削っても平気な人はごくわずかです。
多くの人にとって、夜更かしは自律神経の乱れをゆっくり進行させる習慣にすぎません。
夜更かしが続いて疲れが抜けない方は、
まずは体のリズムを取り戻すために、鍼治療を取り入れてみてください。
眠れない夜に悩むより、体のバランスを整える一歩を。