突発性難聴

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一人一人に応じた治療で治癒率88%

鍼治療の効果が明確に現れる疾患のひとつが「突発性難聴」です。突発性難聴の治療は、2000年に東京・渋谷で開院して以来、当院が最も力を入れてきた分野のひとつです。少し古いデータですが、2015年の1月から6月までの半年間に突発性難聴の患者様58名を治療しました。そのうち、明確な治療効果が見られた方が51人(88%)にのぼっています。

発病率は人口100万人あたり年間275人で、50〜60歳代に起きることが多い病気です。難聴に加え、多くの場合、耳鳴りを伴います。約半数の患者は強いめまいを起こします。お早めに当院の専門家にご相談ください。

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突発性難聴とは

突発性難聴は内耳の病気で、何らかの原因で内耳の働きが損なわれて発症する「感音性難聴」の一種です。耳鼻咽喉科を受診して、耳が聞こえにくいのに外耳道に閉塞がない、鼓膜には異常がないと言われた場合は、突発性難聴の可能性が強いと思われます。明確な原因ははっきりせず、ウイルス感染や自己免疫障害などが原因ではないかと考えられています。

突発性難聴にかかる人のおよそ7割が発症前後に耳鳴りを伴います。場合によっては 一ヶ月以上耳鳴りが続くこともあります。 難聴の症状が出る前に 耳が詰まった感じがすることもあります。 また、患者のおよそ半数は、軽度~重度のめまいを訴えます。 めまいがひどい場合は「眼振」といって眼球が勝手に動き、 規則的な往復運動を繰り返すこともあります。 めまいは何週間も続くことがありますが、 一度治まると再発することはありません。

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中国医学では突発性難聴は四種類

中国医学では、突発性難聴を原因の違いで大きく四つに分けています。

①外邪侵襲

外部からの邪気の侵入によって起きます。耳に閉塞感があり、耳鳴りがします。耳の中が痒くなることもあります。

②肝胆邪火

急激なストレスなどによって起こります。ひどい頭痛を感じることが多く、顔面の紅潮や不眠などを伴います。

③瘀阻耳脈

血流が停滞することによって、耳の経絡(気の通り道)が塞がれて発症。めまいの他、針で刺すような鋭い頭痛を伴います。

④腎精虚損

内臓由来の難聴で、比較的ゆっくりと発症します。悪化すると倦怠感や足腰のだるさを覚え、食欲がなくなり下痢をすることもあります。

難聴の原因が外邪侵襲、肝胆邪火、瘀阻耳脈、腎精虚損のいずれなのかで異なった治療法を選択し、難聴に効くツボも新たに開発されています。当院では中国での先行研究を踏まえたうえ、長年の臨床経験を活かし、患者様に最も効果的な治療を行なっています。

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健身院での突発性難聴の治療

当院では一人一人の患者様の症状に合わせ、最も適切なツボや治療法を選んで治療します。毎日1回、ワンクール10日間の治療が基本ですが、忙しくて毎日の通院は無理だという方には事情に合わせ治療計画を立てますので、どうぞお気軽にご相談ください。

治療実例─1

患者45歳女性(職業は学校講師)

病名突発性難聴

症状左耳の難聴が7日間継続。

一週間前に突然、左の耳に耳鳴りがあり、やがて音が聞こえなくなったそうです。軽いめまいもあるので病院に行くと、「突発性難聴」との診断でした。医師の処方により服薬を続けていますが顕著な改善は見られず、イライラして夜も眠れないため、精神的に参っているとのお話でした。

診察の結果、治療は「清肝瀉火」、イライラ、耳鳴り、口の渇きなど「肝火」の症状を鎮めることに加えて、痰湿により詰まった気の通り道=経絡を開通させる「去痰通竅」を中心に行うことにしました。

最初の一週間は毎日1回、休診の日曜日を除く計6回の治療を実施。それで耳の閉塞感がなくなり、眠れるようになりました。翌週からは2日に1回のペースで治療し、三週間の治療を続けた後は、耳鳴り、難聴がともに軽減しました。その後は仕事が忙しくなったとのことで二週間治療をお休みしましたが、症状はおおむね横ばいで、著しい悪化は見られませんでした。その後、鍼灸治療を再開、週3回のペースで一ヶ月ほど継続した結果、わずかに難聴が残るものの、他の症状はすべてなくなっていまは元気を取り戻していらっしゃいます。

治療実例─2

患者48歳男性(耳鼻科医師)

病名突発性難聴

症状一ヶ月前から、難聴が続く。

この患者様は耳鼻科の医師で、専門家です。突然右側の耳が聴こえづらくなり、診察をしていて患者の言葉が聞きとりにくくなりました。耳鳴り(キーンという金属音)もあります。診察の結果は突発性難聴で、処方された薬を飲みましたが、難聴・耳鳴りともに大きく改善はしませんでした。

診断と治療経過: 来院時には難聴と耳鳴りがあって、寝つきもよくありませんでした。舌を診ると舌の苔が薄く、舌そのものの色が赤くなっています。 血圧は148/96でやや高めでした。原因は「腎精虚損」(腎に貯めこまれた精が弱くなった状態)だと考えられたため、患部である耳のツボ(翳風、聴宮)を中心に足三里など手足のツボを組み合わせて治療をすることにしました。ワンクール10回の治療が終わった頃には、治療前に比べて耳鳴りが小さくなり、少し聴力が戻ってきました。病院で検査したところ、聴力は半分程度回復しており、夜も眠れるようになりました。

治療実例─3

患者40歳女性

病名突発性難聴

症状突発性難聴なって2ヶ月。

2ヶ月前に突然左の耳が聴こえなくなり、しかも、高音性の耳鳴を伴う、病院で突発性難聴といわれ、 点滴や高圧酸素療法、星神経節ブロックなど治療を受けました。症状はすこし軽くなったようです。 来院時、左耳は大きい音が聞こえますが、言葉が聞き取れない、音割れと音響きを感じ耳、鳴りもします。

診断と治療経過:患者様は精神的イライラしていて、体がちょっと太りぎみで、足には少しむくみがあり、舌の苔が厚くて粘っこい。中医学の理論に基づき、実証と判断しました。鍼灸治療が開始してから5回目で音割れや音響きが改善され、耳鳴りも小さくなり、難聴も改善されました。10回目の鍼治療が終わったごろには音割れ音響きが完全に消え、声もよく聞き取れるようになりました。残りは耳鳴りのみです。 現在も続いて健身院に通院中です。

治療実例─4

患者41歳女性会社員

病名突発性難聴

症状ここ二週間前から右の耳が塞がった感じをして、聴こえも少し悪い。発症から直ぐ病院で検査し、鼓膜や聴力に異常が見つからなかったという。でも、耳の閉塞感がますます強くなり、鍼が効くと友人の紹介で来院した。

診断と治療経過:患者様はちょっと体が太め、頭が重く、全身が怠く感じる、足には少し浮腫み、舌の苔が白くて厚い、舌質紅、脈は弦滑。

治療法:除湿去痰開竅(痰と湿気を取り除く)1日1回、最初の三日間は連続、そのあと1日置きで鍼灸治療する。3回目で耳の閉塞感が軽減し、10回終わる頃、閉塞感がなくなり、足の浮腫みも消え、体がかなり軽く元気が戻ったという。

鍼治療は一人ひとりの症状にあわせて、一番ふさわしい施術法を選ぶ必要がある。表里、虚実、寒熱、陰陽を弁証する上で選穴し、刺灸法を決める。

ここでツボを選んだわけを簡単に説明する。手足少陽経は耳の前後をめぐっている。そのため手少陽経の翳風、足少陽経の聴会などを遠近配穴として取り、少陽の経絡の通りを良くする。