脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症とは、加齢に伴い椎間関節や靱帯などが変形し、脊柱管内の神経が圧迫されることにより、腰や脚に痛みや痺れが現れる疾患です。この疾患は、椎間板ヘルニアとともに腰痛の主要な原因の一つとされていますが、ヘルニアと異なり、加齢に伴い発症することが特徴です。
脊柱管狭窄症の主な症状
脊柱管狭窄症の主な症状は、腰痛、脚の痛みと間欠跛行(かんけつはこう)です。「間欠跛行」とは、歩いていてだんだん脚の痛みやこわばり、痺れが強くなり、やがて歩けなくなってしまう状態をいいます。しばらく休むと痛みが治まって歩けるようになりますが、重症になると50mも行かないうちにまた歩けなくなったり、5分程度立っているだけでも痛みが出たりします。これは立つことで脊柱管が狭まり、神経を圧迫するからです。
脊柱管の中には神経と血管が通っています。脊柱管が狭くなるとこの神経と血管が圧迫され、充分な血液が神経に供給されなくなって脚の痺れやだるさ、痛みなどの症状が現れます。腰を反らすと痛みが悪化し、前屈みになったり椅子に腰かけたりすると楽になります。体を前屈みにすることによって脊柱管が広がり、神経に対する圧迫が減るからです。神経が変性すると常時しびれが残るようになりますが、歩いたり立ったりしなければ、症状が出ないこともあります。
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管狭窄症には先天性と後天性の2つのタイプがあります。先天性脊柱管狭窄症は、脊柱管が通常よりも狭い状態から生まれつき存在するものです。後天性脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、腰椎手術などによって脊柱管が狭くなることによって引き起こされます。この疾患の基本的な原因は腰椎の老化であるため、中高年に多く見られるのが特徴です。
脊柱管狭窄症に対する治療
脊柱管狭窄症の西洋医学における治療法には保存療法と手術療法が存在します。保存療法は、薬物療法、神経ブロック注射、またはコルセットの着用などによって症状を軽減させる方法です。薬物療法は長期間にわたる使用に伴う副作用に注意が必要です。痛みが強い場合、神経ブロック注射が効果的であり、ただし症状の緩和を目的とした対症療法です。また、コルセットの長期間の着用は筋力の減少を引き起こす可能性があるため、必要な時にのみ使用するようにしましょう。手術療法は、外科手術によって狭窄した脊柱管を拡張し、神経への圧迫を解消することを目的としています。
健身院での脊柱管狭症治療
鍼治療は西洋医学でいう保存療法の一種で、治療効果が高く、副作用がないのが特徴です。一般的に、脊柱管狭症の治療によく使われるツボは、脚にある二本の経絡(太陽膀胱経と少陽胆経)上に存在します。健身院では、こうした一般的なツボに加えて、平衡鍼灸学特有のツボである、額の中心にある「腰痛穴」や、肩甲骨の外側にある「殿痛穴」も使用します。その他にも、夾脊穴、大腸兪、次廖、秩辺、環跳、承扶、殷門などのツボも活用されます。
※平衡鍼灸学は、北京軍区総医院の王文遠教授が伝統的な中国鍼灸に最新の西洋医学研究の成果を取り入れ、数万人規模の臨床実験を行い、確立されたものです。
日常生活における注意点
痛みや痺れなど脊柱管狭窄症の症状は、日常生活で取る姿勢によって悪化したり改善したりします。以下に、いくつかの注意点を気を付けましょう
・背中を反らせるような姿勢はできるだけ避けましょう。
・歩く際には、やや前かがみに歩くことを意識しましょう。
・自転車に乗れる場合、できるだけ自転車を利用しましょう。足の筋肉を鍛えることで症状が改善される可能性があります。
- 治療実例─1
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患者女性、無職、60代
病名脊柱管狭窄症
症状右のお尻から下半身にかけての痛みと痺れが1年間続いています。
約1年前から、立ちっぱなしやしばらく歩くと、右下腿の外側に痛みが現れるようになりました。症状は段々と強くなり、半年前に整形外科で脊柱管狭窄症(腰椎4番と5番のすべり)と診断され、飲み薬や骨盤牽引などの治療を約半年間受けましたが、あまり改善されず、症状はますます悪化しました。歩いて2分もしないうちにすぐに痛くなり、休憩しないと歩けない状況に至りました。その他には肩こり、背中のこわばり、少し早めに目が覚めるという症状もあります。
治療経過: 治療は鍼、吸玉、手技を組み合わせ、毎回の来院時に症状に合わせて最適なツボを選んで治療しました。治療の間隔は週に2回です。最初の施術の翌日には体がだるく感じられましたが、その後の治療後には体が温かくなり、しかし、時間が経つと症状が再び現れると報告されました。10回目からは整体術の斜板手法を導入し、20回目からは治療効果が2日から3日間継続するようになりました。30回目からは患者さんに毎日柔軟体操を行うよう勧めました。ほぼ35回目からは普通に痛みなく歩けるようになりました。
- 治療実例─2
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患者男性、66歳、会社役員
病名脊柱管狭窄症
症状2か月前から左側大腿の前と外側が痛む。2ヶ月前から歩くと左側大腿部がだるく痛むため、途中で休憩しなければならない。整形外科で脊柱管狭窄症と診断され、薬や骨盤牽引など、他の鍼治療も受けたが、改善しなかった。健身院のウェブサイトを見て来院した。
治療経過:患者様は腰の痛みをあまり感じないが、腰椎4番、5番、仙骨1番の左側に強く圧をかけると痛みがあり、左足をまっすぐに上げるとつっぱり感がある。治療は健康クラブの特徴的なおまかせコースを選択し、鍼灸吸玉整体術を組み合わせた。1回目の治療後、患者様は直ぐに足が軽く感じ、非常に楽になったと報告した。3回連続の治療後、2日おきにセッションを受けて、10回終了時には足の痛みがほぼなくなり、疲れるとわずかな痛みが出るだけの状態です。
- 治療実例─3
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患者女性、77歳、主婦。
病名脊柱管狭窄症
症状右お尻太ももの痛み、両膝痛、間欠性跛行。この患者様は若いころから五十代後半までずっと日本舞踊を習っていました。五十歳を過ぎてから両膝が段々と痛くなり、足がO脚に変形してしまいました。一年前から右お尻太ももの外側が痛み始め、しかも症状が徐々に悪化し、特に歩き出した後に痛みが強くなり、しばらく休憩しないと歩けない状態です。三ヶ月前から諸症状が悪化し、朝になると右お尻の痛みで目が覚めます。杖を使わないと歩けません。大学病院で腰椎脊柱管狭窄症と診断され、手術しないと治らないと言われました。手術を避けたいため、娘さんがインターネットで健身院のウェブサイトを見つけ、積極的に鍼灸治療を勧められたとおっしゃいました。
治療経過:腰とお尻と両膝に電気刺激療法などを行い、最初は毎日一回、連続五回治療しました。その結果、朝方の我慢できない右お尻の痛みが半減しました。その後、一日おきに五回治療を受け、夜間の痛みがなくなり、膝の腫れと痛みも減少しました。ただし、歩く際には杖がまだ必要でした。その後、2か月間、週に2回のペースでハリと灸の治療を受け、結果的に杖を使わずに2キロ歩けるようになりました。
- 治療実例─4
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患者女性56歳
病名脊柱管狭窄症
症状腰から下肢にかけての痛みが半年間続いています。患者は慢性の腰痛があり、半年前から両方のお尻から大腿部、下腿部に痛みが広がり、特に右側が強烈で、毎朝右側のお尻の痛みで目を覚ますことがあります。歩くことが難しく、診察時には3分間も歩き続けることができませんでした。整形外科を受診し、検査の結果、腰椎脊柱管狭窄症と診断されました。鎮痛剤、神経ブロック注射、および骨盤牽引などの治療を約3ヶ月間受けましたが、痛みが緩和されませんでした。
治療経過:当院では、ハリと手法を併用した施術を行いました。使用したツボは腎兪(第二腰椎の横)、大腸兪(第四腰椎の横)、関元兪(第五腰椎の横)、環跳穴(お尻にある)、委中(膝の後ろ)、陽陵泉(膝の腓骨頭の下)です。施術を5回受けた時点で痛みが半減し、10回目には鎮痛剤を必要とせずに痛みを我慢できるようになりました。