1〜2ヶ月の治療で視力改善を実感できます
当院は日本において網膜色素変性症の鍼治療ができる数少ない治療院のひとつです。網膜色素変性症は、眼の中で光を感じる組織=網膜の異常で、遺伝性疾患であり、難病に指定されています。日本眼科学会によれば、日本では人口10万人に対し18.7人の患者がいると推定されています。症状は、暗いところでものが見えにくい夜盲のほか、視野狭窄や視力低下などです。
当院には豊富な鍼灸治療の実績があり、患者様の症状に合わせた治療をしています。多くの場合、約一ヶ月から二ヶ月程度の治療で視力や視野の改善など効果を実感できます。
網膜色素変性症とは
網膜には光を感知する視細胞が1億個以上も集まっています。網膜色素変性症は、遺伝子の変異が原因で、この視細胞が年齢より早く老化してしまい、色素の沈着などによってものが見えにくくなる病気です。多くの場合、最初に現れる症状は暗いところでものが見えづらくなる夜盲(鳥目)で、やがて視野狭窄や視力低下に至ります。両目同時に発症しますが進行は極めて遅く、数年あるいは数十年をかけて徐々に悪化していきます。病状の進行速度には個人差があり、幼少期に発症して三十代、四十代で失明状態になる人がいる一方、八十歳を過ぎても特に不自由なく日常生活を送る人もいます。
網膜色素変性症の鍼灸治療
網膜色素変性症は、根本的な治療法がないと言われる難病です。鍼灸治療は「気」の通り道である経脈を開通させ、体の陰陽のバランスをよくすることで、夜盲や視野狭窄、視力低下の症状を改善、病気の進行を遅らせることを目的とします。 中国医学の場合、まず症状を分析して治療方針を立てます。これを「弁証論治」と呼んでいますが、同じ網膜色素変性症であっても症状の出方によっていくつかのタイプに分類し、それぞれ違うツボを使って治療します。
○「肝腎陰虚型」
症状は夜盲、ドライアイ、めまい、耳鳴り、夢ばかり見て眠りが浅い。治療には承泣、睛明、肝兪、腎兪などのツボを使います。
○「脾腎陽虚型」
症状は夜盲、顔色が白っぽく、疲れやすい。食が進まない。治療には肝腎陰虚型と同様、承泣、睛明などを使いますが、それに命門や足三里を加えるようにします。
○「気虚血滞型」
夜盲はいずれの型にも共通する症状ですが、このタイプの場合は喋るのが億劫になるため無口になり、息切れが目立ちます。治療に使うツボは、睛明、心兪、膈兪、風池などです。
健身院の鍼治療実績
当院では2000年の開業以来、沢山の網膜色素変性症患者を診てきました。そのうち8割以上の方に以下のような効果が確認されています。
○夜間視力の向上
鍼治療の後、夜間に道路、階段を歩けるようになった患者様が多くいらっしゃいます。
○視野拡大
鍼治療の後、患者様の多くに周囲視野の拡大が見られました。歩くときにぶつかったり、転んだりする事例が減少、 階段の昇り降りも自由になりました。
○色覚向上
患者様の多くに藍、深緑、黒、紫、黄、褐色の色盲が観察されますが、治療後は色の分別ができるようになります。
鍼治療を始めて1ヶ月前後でその患者様に鍼が有効かどうかが判ります。残念ながら、当院の場合、8人の方には効果が現れませんでした。
- 鍼治療実例─1
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患者26歳女性
病名網膜色素変性症
症状幼稚園のときに網膜色素変性症と診断され、当時は視力が右0.9、左0.8でした。その後、視力の低下が少しずつ進み、社会人になった時点での視力は0.4。視野狭窄も認められました。
診断と治療経過:現在、当院に通い始めて2年になりますが、視力低下や視野狭窄は進行していません。視力は僅かですが0.6まで回復しました。
- 鍼治療実例─2
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患者51歳男性
病名網膜色素変性症
症状35歳のときから視力が落ち始め、視野も狭くなっていました。病院で検査を受けた結果、網膜色素変性症と診断されました。
診断と鍼治療経過: この患者様は8年前、43歳のときに来院。鎌倉にお住まいですので、週一回のペースで治療を続けて来られました。現在に至るまで、視力、視野の範囲ともに、当初のレベルを維持していらっしゃいます。
当院に網膜色素変性症でいらっしゃる患者様の年齢層は10代〜60代にわたります。平均年齢は35歳というところでしょうか。網膜色素変性症は致盲率が高く、根治も難しいことから、早めの発見、早めの治療が重要になります。