中国鍼が日本の鍼より太いと思われている方が多いと 思いますが、太いとはいっても、日本で一般的に使われる鍼灸用の鍼と比較しての話で、病院で使う採血用の針の半分から1/3ぐらいの太さなのですが。一方、鍼の長さは同じ中国鍼でも様々です。
当院で最も多く使っているのは写真の一番下に写っている鍼で、把手部分を含めて8.5cmほどの長さです。一番上の鍼は11cmの長い鍼で、患者様の容態によって使うことがあります。真ん中の短い鍼は長さ5cm、主に顔面神経麻痺の治療に使っています。
当院は開院以来、大変多くの顔面神経麻痺の患者様の治療を行なってきました。院長、副院長ともに中国・上海の大学病院で臨床経験を積んできており、顔面神経麻痺の鍼治療に関して言えば、日本では草分け的な存在だと自負しています。顔面神経麻痺の治療法としては最先端の「経筋透刺法」を全面的に導入しています。
透刺法は、一本の鍼で複数のツボを刺激する刺鍼法です。そのため顔面神経麻痺用の短い鍼は使わず、ほとんどの場合、通常と同じ長さ8.5cmの鍼を使用しています。
透刺法は中国の古典医書にも記載されている古くからある手法ですが、現代になって急速に研究が進み、大いに発展しました。鍼を刺し入れる角度と方向によりいくつものやり方があります。皮膚に沿って浅く鍼を入れる方法もあれば、通常より長めの鍼を使ってツボとツボを貫通するように鍼を打つ方法などもあります。
あらゆる疾患に使える技ではありませんが、熟練した施術者が行えば顔面神経麻痺などに高い効果を発揮することが知られています。
当院ではこの透刺法のなかでも、同時に三つ以上のツボを刺激したり、二つのツボを逆方向に二本の鍼を打って貫き刺激量を増やすなど、より高度な技術である経筋透刺法を駆使して顔面神経麻痺の治療を行ないます。
何度も書いてきたことですが、顔面神経麻痺の鍼治療については診断技術と鍼の手技(鍼を刺す方向や刺激量)が治療効果に大きな影響を与えます。一見して同様の治療を行なったからといって同じ結果にはつながらないのが現実です。顔面神経麻痺にお悩みの方はぜひ技術と経験の当院におまかせください。