関節痛㊦

 

2.関節痛に鍼が効く理由(わけ)
こうした関節痛には鍼灸による治療が極めて効果的です。鍼には神経の働きや血流をコントロールする作用があり、そのため痛みの感覚や炎症を和らげることができるのです。

 

膝痛(変形性膝関節炎)を例にとれば、鍼灸を組み合わせた治療でまず炎症を抑え、そうすることで狭くなっていた膝の可動域を拡大していくなどリハビリテーションの役割も果たします。膝に水が溜まってしまった場合だと、注射器で水を抜くことはできますが対症療法であり、根治とは言えません。

 

鍼灸による治療で水が自然に引くようにするのが賢明といえます。また鍼灸には、炎症を強くするたんぱく質の合成をを抑制し、弱くなった筋肉を強化する一方で、過緊張の状態にある筋肉をほぐすという効果もあることが報告されています。

 

一方、手根管症候群(手首痛)や足根管症候群(足首痛)の場合は、神経の通る狭いトンネルのような管が炎症を起こして腫れ、それが神経を圧迫することによって強い痛みを生じる病気です。

 

鍼で炎症を和らげてやれば、神経への圧迫が減るので痛みの緩和が期待できます。こうした神経系の痛みに鍼灸が極めて大きな効果を発揮する理由です。

中国医学では「気血の滞りには痛みあり」、逆に「気血自由に流れるところに痛みなし」と言われます。体内のエネルギー(気血)の通り道とされる経絡に働きかけ、滞っている流れをスムーズにするのが治療の基本です。

 

治療にあたっては、まず患者様の症状に関係していると思われる経絡を明らかにし、(経絡は主なものだけで12本あります)その経絡の上にあるツボを中心に治療に使うツボを複数選んで鍼や灸を施術します。そのため、関節痛の場合でも、痛みを感じる関節とは離れた場所に鍼を打つことも珍しくありません。

3.日常生活でできる関節痛の予防

① 適度な運動を毎日行いましょう
自宅でできる簡単な運動でいいのです。毎日習慣づけて、関節の劣化を防ぎましょう。例えば膝痛の予防であれば、腿を交互にできるだけ高く上げたり、椅子に座って片足を前に伸ばして10秒間静止したりしてみましょう。激しすぎる運動は関節に負担をかけるので、テレビでよく午前中などに放送している体操でもいいと思います。


② 太り過ぎに注意が必要です
これも主に膝痛や足首痛の場合ですが、肥満は関節の負担を増大します。太り過ぎが気になる方は、食事のカロリーを減らし、規則正しい食生活を心がけるなどして体重が増え過ぎないようにコントロールすることが重要です。肥満防止のためにも、適度な運動を心がけるようにしましょう。あまり大げさに考えず、早足を心がけながら散歩するだけでもいいと思いますよ。


③ 体を冷やさないようにしましょう
体が冷えると、血液循環が悪化して関節痛を引き起こすことがあります。入浴は最も簡単な関節痛の予防法ですから、シャワーを浴びるだけですませることなく、いわゆる〝カラスの行水〟も避けましょう。38~40℃ぐらいのぬるめのお湯にゆったりと長時間つかるようにしましょう。