継続は力(顔面神経麻痺後遺症の鍼治療)

 

 

以前当院に通っていた顔面神経麻痺の患者さんが久しぶりでおいでになりました。

 

発症してすぐ来院して10回の治療で顔の歪みもかなり良くなり、普通に見ているには麻痺が分からないところまで回復していました。私としてはもうちょっと治療を続けた方がいいと思ったのですが、ご本人はもう大丈夫だと思われたのでしょう、お見えにならなくなりました。それから七ヶ月、久々で拝見した患者さんの顔は、目から頬にかけてこわばりが強く出ていました。検査の結果、これは後遺症だと判断しました。


中国で「倒錯現象」と呼ばれる症状が顕著に出ていました。通常の顔面麻痺では笑ったとき健康な側に口が引っ張られて歪むのですが、「倒錯現象」の場合は麻痺のある側に口が歪んでしまいます。鍼で治すことができますが、やはり以前もう少し通ってくださっていたら...と残念でなりません。

患者さんのなかには経済的な考慮をなさる方もあると思いますが、後遺症が出るとかえって治療費が高くついてしまいますし、なにより重要な問題は完治する確率が落ちてしまうことです。


顔面神経麻痺は自然治癒するとも言われますが、後遺症のリスクを考えると徹底して治療することをお薦めします。一見歪みがなくなったように見えても、笑うと口が歪んだり、顔にこわばりが残ったりします。当院では大半の患者さんが完治するまで通ってくださいますが、稀にはこういう残念な例もあるというので書かせていただきました。