トリガーポイントと鍼灸医学の関係

トリガーポイントとは?
トリガーポイントとは、患者が痛みを感じる部位と離れて存在する、痛みの真の原因となる場所である。
トリガーポイントには活動性トリガーポイントと潜在性トリガーポイントがあります。トリガーポイント活性化していると痛みが放散(関連痛)し、神経の活動性の亢進や可動域の制限などが認められる。一方、トリガーポイントが潜在的であると、可動域の減少や筋力低下は認められるかもしれないが痛みを伴うことはありません。トリガーポイントが存在している時の大きな特徴として、筋肉にある索状硬結に圧痛が認められること、関連痛が生じることの二つがあります。また、筋力低下、可動域の制限、さらに筋肉とは関連がなさそうな症状も多数認められることがあります。


トリガーポイントとツボや経絡との関係
トリガーポイントは、トリガーポイントが存在している領域だけではなく、他の領域にも痛みを放散させることが知られており、これを関連痛と呼びます。

一方、経絡とは気血の流れる場所であり、ツボとは経絡の上に存在する気血津液の滞りやすい場所であります。ツボには経絡に所属するツボ(経穴)と、経絡に所属しないで存在するツボ(奇穴)の2種類のツボがあります。

ツボと呼ばれる「点」は、神経束の豊富に分布している局在した部位であることは明白です。筋筋膜トリガーポイント性疼痛は、トリガーポイントを覆う組織に直接鍼を刺すことによって直ちに軽減されるので、これらの場所はAδ神経線維の豊富な部位のはずであり、これらの部位は表面に位置したツボであると考えられます。

研究によりますとトリガーポイントと伝統的ツボとの空間的分布トリガーポイントと痛みの治療に用いられるツボの緊密な関連性は、両タイプの部位の分布が歴史的には全く異なる医療の概念から得られました。

トリガーポイントは神経系と筋系の解剖でしっかりと定められています。一方、ツボは気血を運ぶ組織といった解剖的には存在しない古代の概念に関連しています。

由来は異なるにもかかわらず、痛みの軽減に用いられるツボは、これらの点を圧迫すると特異的な痛みのパターンを誘発し鍼の刺入による短時間の強烈な刺激がしばしば痛みの長時間の軽減をもたらすという、トリガーポイントの場合と同じような経験から導き出されたものと考えるのは理屈にあっていると思います。


トリガーポイントを鍼灸治療に取り入れる
トリガーポイントと伝統的鍼治療は切っても切れない関係であります。慢性痛を苦しむ患者の日常的治療法では、鍼療法を積極的に入れたほいうがいい、また、鍼治療は全ての活性化したトリガーポイントへ行われることが重要です。

西洋の医療体系の中の基本的な原理に基づくことによって、いかにこの種の治療法が、筋骨格系の痛みの治療に対して合理的な方法として用いられることができるかを検討することができます。

これは経験則に基づいた中国伝統医学のツボや経絡の概念、患部と離れた場所を手当てすることにより症状の緩解を図る手法が西洋医学的アプローチによって実証できる可能性を意味するとともに、臨床的にはトリガーポイントに対する鍼治療の有効性を示しております。