肋間神経痛は元中国主治医にお任せ(臨床経験38年)

元中国主治医が完治へ導く
※上海中医薬大学附属病院元主治医

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原因不明の痛みには鍼灸治療が有効です

肋骨に沿って走る神経の周辺がなんらかの原因で痛むのが肋間神経痛です。肋骨の下の方を押すと痛みがあり、咳や深呼吸をするときに激しく痛みます。肋骨や脊椎の病気が原因とされますが、原因が判らないケースも少なくありません。大動脈瘤や胸膜炎など内科疾患が原因の肋間神経痛であれば原因疾患の治療が必要になりますが、運動不足などからくる肋間神経痛、原因がわからない痛み、とりあえず痛みを緩和したいときは、鍼治療が大変有効ですのでご相談ください。

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肋間神経痛とは

「肋間神経痛」はよく耳にする言葉ですが、実は病気の名前ではありません。肋骨に沿って走る神経(肋間神経)の周辺がなんらかの原因で痛むことをいい、痛みの原因となる病気は別にあります。例えば、胸膜炎や大動脈瘤、帯状疱疹などの病気が肋間神経痛を引き起こしますが、運動不足や不自然な姿勢が原因で神経が骨や筋肉に締めつけられて痛む場合もあります。また原因不明のケースも少なくありません。症状としては、肋骨の下の方を押すと痛み(圧痛)があり、咳をしたり深呼吸をすることで痛みが激しくなります。

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肋間神経痛の治療法

肋間神経痛を治すにはまず原因となる疾患を特定しなければなりませんが、これがなかなか難しいのが現実です。病院に行こうにも、外傷に原因がある場合は整形外科、胸膜炎や帯状疱疹であれば内科なので、特段の知識を持たない患者様は判断に困ります。また、狭心症と痛みの現れ方がよく似ているので間違いやすいという問題もあります。大動脈瘤などの内科疾患が原因の肋間神経痛であれば原因疾患の治療が必要ですが、運動不足などからくるもの、原因がはっきりしない場合、まず痛みを緩和したいときは、鍼治療が有効になります。

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中国医学による肋間神経痛の分類

中国医学では肋間神経痛を「肋痛」と呼び、人体の気の通り道である経絡のひとつ、「足の厥陰肝経」と大いに関係があるものだと考えます。例えば肝気横逆による肋痛は、あばらの部分が膨満して痛みを感じます。痛む場所が不安定で変わりやすく、痛みの程度も感情の変化によって左右され、イライラしたり、不眠やのぼせなどの症状がでるのが特徴です。それに対して血瘀停着による肋痛は、あばらの部分に鋭い痛みがあり、痛む場所がいつも同じで変わりません。夜間に痛みが激しくなるのが特徴です。さらに肝陰不足による肋痛の場合は、あばら部分に常に鈍い痛みが続き、目がかすんだり、耳鳴りや手足のしびれなどの症状があります。

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健身院での鍼治療法

当院では疎通経気(経絡の流れをよくして気を開通する)を治療原則として、足の厥陰肝経、少陽胆経にあるツボを中心に鍼治療を行います。厥陰肝経にある期門、行間、蠡溝、少陽胆経に属する陽陵泉のほか、胸の中心部にある膻中、阿是穴(痛みのある場所)などのツボです。 さらに、健身院が採用する平衡鍼灸学独特のツボである胸痛穴も加えます。こうしたツボから毎回3〜4穴を選び、瀉法といって刺激がやや強めの鍼の打ち方をします。打った鍼は20〜30分そのまま置きます。
肝気横逆のあるときは心兪、肝兪という背中にあるツボを加えての治療になります。疼痛が慢性的な場合は、背中にある挟脊穴に鍼を打ったうえで灸を据えます。原因がよくわからない肋間神経痛にお悩みの方は、お早めに当院にご相談ください。

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肋間神経痛予防法

・デスクワークをされる方は、日々姿勢に注意する必要があります。

・胸椎に基礎疾患がある場合は、二次性肋間神経痛を避けるために、できるだけ早く治療する必要があります。

・季節の変わり目に風邪を引かないように、こまめに換気し、室内の空気を新鮮に保ちましょう。

・免疫力を高めるために、積極的に運動を行ってください。

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肋間神経痛のセルフケア

・肋間神経を刺激しないように、毎日長時間座らないようにしてください。

・肋間筋、胸筋、背中の筋肉をリラックスさせるために適切なストレッチを行い、そうすることで血液の流れが改善され、肋間神経痛が軽減されます。

・温湿布などで痛みのある場所を温めることも肋間神経痛を軽減できます。

・肋間神経は神経の一種ですので、ビタミンB1を摂取しましょう。たとえば、全粒穀物には神経栄養素ビタミンBが含まれていますので積極的に取り入れてください。

・カルシウムを補うために牛乳を適切に摂取することも、神経の過敏性を軽減し、肋骨や肋軟骨の機能状態を改善するのに役立ちます。

治療実例─1

患者KM 様

病名肋間神経痛

症状右胸肋間神経痛に3年以上悩まされていた。

3年前、フィットネスが大好きなKM様は、ジムで運動をした後、突然右胸に痛みを感じましたが、その時は筋肉痛だと思い、あまり気に留めませんでした。その後、思いがけないことに、胸の痛みは徐々に悪化し、ひどい時は痛みで一晩中眠れませんでした。患者様は地元の病院でCT、超音波検査、冠状動脈造影検査などを受けましたが、異常は見つかりませんでした。地元で鍼治療やマッサージを受けても明らかな効果はありませんでした。

治療経過:患者様は無菌性炎症刺激による肋間神経痛の可能性があると考えました。このようなケースでは、中医学では経気運行不畅(経絡の流れが滑らかでない)、不通則痛(経路が詰まっているため、痛みを引き起こす)による発症だと考えられています。治療としては、疎通経気(経絡の流れをよくして気を開通する)を治療原則として、足の厥陰肝経、少陽胆経にあるツボを中心に、特殊な透刺鍼法(囲刺、点刺)を行うことによって、体内の邪気を取り除き、血流を改善し、詰まった経絡(気の通り道)を開きます。患者様に鍼灸治療を行ったところ、治療直後から患者の右前胸の痛みが大幅に軽減し、夜間の睡眠の質も大幅に改善しました。5回目の鍼灸治療から、患者の胸痛は再発せず、胸や背中の痛みやしびれなどの肋間痛の症状も徐々に取れました。患者様から「胸の痛みが取れて、通常の日常生活も戻れることにありがとう!」と何度も感謝されました。肋間神経痛に3年以上悩まされていましたが、5回の鍼治療で痛みが楽になりました!

治療実例─2

患者TS 様

病名肋間神経痛

症状3ヶ月前から左側肋骨間(第7~8肋間)の痛み

3ヶ月前に風邪をひいた後、左側の肋骨が刺すような痛みがあり、放散痛はなく、徐々に悪化し、特に夜間には痛みで眠れない状態でした。痛み止めを内服しても、若干の緩和しか得られず、その後椎間関節ブロック注射を4回受けましたが、症状が繰り返しました。そこで、鍼治療を希望し、来院されました。

治療経過:来院時の症状は、無気力感、気分の低下、顔色が暗く、左脇腹の痛み(特に午後から夜にかけて増す)、不眠、吐き気、寝つきが悪く、舌苔が白く、脈が弦滑でした。中医学的には、このような症状は寒滞肝脉、瘀血阻络証(寒邪の侵襲を受けて肝脈が収縮し、気血の流れが滞るによる症状を引き起こします)と考えられ、そのほか、鬱っぽい症状も見られました。治療としては、督脈を整え、肝腎の経絡の流れを改善し、冷えや痛みを緩和することでした。特殊な透刺鍼法(囲刺、点刺)と平補平泻を行い、毎日一回治療を行いました。

治療後1週間で、痛みの症状が軽減し、我慢できるようになり、睡眠が改善され、顔色も明るくなりました。治療8回目ごろ、痛みの症状が明らかに緩和され、再発防止のためさらに4回治療を行いました。その後、再発はありませんでした。

治療のポイントは、診断と特殊な鍼法により気血の流れが改善し、痛みが早く消え、精神的な安定も得られました。