WHOが効果を認めた鍼治療を当院で
うつ病は現代社会で特に目立つようになった病気のひとつです。出現率は5%前後、およそ20人に1人が発症する大変ありふれた病気ということになります。うつ病は精神的な疾患だと考えられていますので、鍼治療が効果を発揮するのか疑問に思われる方も少なくないと思います。
しかし、WHO(世界保健機関)が科学的な臨床試験を行なった結果、鍼治療の効果が明らかに認められたとされる28疾患のなかに「鬱性神経症、卒中後鬱症を含むうつ病」が含まれています。
当院でも、開院以来、うつ病の患者様の治療を行なっています。

うつ病を鍼灸で治す
中国では、二千年前からうつ病に対して鍼灸治療が行われてきました。古典医学書をひも解けば、3世紀に著された【鍼灸甲乙経】に「肝脹は、肝兪これを主る」とあります。鬱は肝と深く関わり、肝臓あたりの腹部膨満感があるときは背中にある「肝兪」というツボを使って治療するという意味です。また【神応経】によれば、「喜哭は、百会、水溝これを主る」。情緒不安定がある場合は、頭頂部にある「百会」、上唇にある「水溝」のツボで治すという意味です。最近では、鍼と抗うつ薬を組み合わせるとより強力な治療効果を発揮するという報告が増えています。
例えば、Smith CA, Hay PPJ, MacPherson Hの“Acupuncture for depression”(うつ病の鍼治療・2010年)などです。
うつ病とは…
人は誰でも心が落ち込むことがあります。健康な人であれば2〜3日もすれば回復して元気になるところが、憂うつな状態が長く続いてやる気が出ず、生活や仕事に支障をきたすのがうつ病です。厚生労働省では、うつ病を次のように定義しています。
「気分がひどく落ち込んだり何事にも興味を持てなくなったり、おっくうだったり、なんとなくだるかったりして強い苦痛を感じ、日常の生活に支障が現れるまでになった状態」
国際的には、1994年にアメリカ精神医学会が発表した「精神障害の診断・統計マニュアル 第4版」によってうつ病かどうかを判断しています。
(1)強いうつ気分
(2)興味や喜びの喪失
(3)食欲の障害さ
(4)>睡眠の障害
(5)精神運動の障害(制止または焦燥)
(6)疲れやすさ、気力の減退
(7)強い罪責感
(8)思考力や集中力の低下
(9)死への思い
上に挙げた9つのチェックポイントのうち
(1)の「強いうつ気分」
(2)の「興味や喜びの喪失」
のどちらかを含む5つ以上の該当する症状があり、なおかつ、ほとんど終日の症状が2週間以上持続し、症状のために精神的ないしは社会的な障害が生じている場合を「うつ病」(専門的には大うつ病性障害)と呼んでいます。該当する症状が2から4の場合は「小うつ病性障害」、大うつ病性障害の基準を満たさない症状が2年以上持続している場合には「気分変調性障害」と呼びます。
一方でうつ病は、全身倦怠感、頭痛、肩こり、胸部の圧迫感、性欲減退、めまい、動悸、吐き気など身体的な症状を伴うことが多くあります。
うつ病の原因
うつ病の原因はまだよく判っていませんが、脳内の神経伝達物質の代謝異常ではないかと言われています。それに、ストレスや様々な体の異常、環境の変化などの要因が重なって発症すると考えられます。
長く臨床に携わってきた経験からすると、うつ病になりやすい性格があるのも事実だと思います。几帳面な人、責任感が強い人、周囲の評価を気にする人、完璧主義者…そういった方が必要以上に自分を追いつめ、ストレスが引き金となって発症するケースが目立つようです。
健身院の治療の特徴
健身院では、長年の臨床経験に基づいて、うつ症状に効く二種類のツボを組み合わせて用いています。
(1) 五臓兪+膈兪
(2) 神庭、百会、安眠、神門、三陰交。
情緒不安定がある場合、お腹が張る、あるいはお腹の中で何かが動くように感じられる場合には、さらに幾つかのツボを加えて治療します。
うつ病の鍼灸治療に際しては患者様の心理的な支えになることが重要で、常にそうなれるようにと心がけています。
上に記したアメリカ精神医学会によるチェックポイントで心当たりのある方は、お早めに当院にご相談下さい。