最近、急激に冷え込んだせいでしょうか、顔面神経麻痺で来院される患者さんが増えてきました。きょうは顔の左右両側で二度、顔面経麻痺を発症した男性のケースを書いてみます。
先月2日からお通いの50代の男性です。この患者様が最初に顔面神経麻痺を発症したのは2年前で、顔の右側の麻痺で来院され、そのときは当院の鍼治療で完治しました。それが今度は左側が発症したのです。今回もベル麻痺ですが、病院で顔面神経機能評価システムによる重症度検査では右健側が100%に対して、左側はわずか20%で高度麻痺となります。 発症から2日目に当院にいらっしゃったのですぐに鍼治療を始めました。 治療初日は目が閉じられず、涙が止まらない状態で、口もかなりゆがんでいました。それが治療を始めて5回目で涙が止まり、食事も普通に食べられるようになりました。10回目で目を閉じられるようになり、口も少し動くようになりました。頬を膨らませることができて、耳の後ろの痛み、顔面神経麻痺に伴う肩こりも軽減されてきました。現在までに15回の治療を行ない、完治を目指しています。 顔面神経麻痺のなかでも「ベル麻痺」は、一度治ったあとに再発することがあります。再発率はおよそ8%と言われていますが、この患者様のように左右が逆になっての発症が多いのが特徴です。もともと顔面神経麻痺の発症は体内に潜んでいるウイルスが活性化し、環境からくるストレスや感情面でのストレスが引き金となって起きるものです。 中国医学でいうところの「冷気」に晒されて肝気鬱血を起こしたり、気血不和の状態になったりすることで症状が顕れてくるのです。この患者様の場合は糖尿病が持病で、糖尿病の方はそうでない方に比べて顔面神経麻痺を起こしやすい傾向があるようです。ベル麻痺の患者様でお心当たりのある方は、完治したといっても気を抜かず、日頃からできるだけストレスを遠ざけるよう心がけてください。 ※施術効果には個人差があります。
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不眠症は最も多い睡眠障害のひとつで、人口の約半数が不眠症と診断されており、その期間が3か月を超えるかどうかによって、慢性不眠症と急性不眠症に分けられ、女性や高齢者に多いとされています。慢性的な不眠症は、学業や仕事などに支障を伴うことがよくあります。ここで不眠症に効果的なツボ療法をご紹介いたします。二つのツボを押すことで相乗効果が期待できます。 『百会』 このツボは自律神経をコントロールする役割を果たします。両方の耳たぶの上端から頭頂部に向かって伸ばした線と鼻梁の中心を上に伸ばした線とが交わる場所にあり、少し窪んでいて、押すと柔らかい感触があります。この「百会」には三本の「陽」の経絡(気の通り道)が集まっています。 東洋医学では、夜眠れないのは体の陰陽のバランスが崩れるからだと考えます。このツボを刺激すると体内の陽の気が頭頂部に集まり、陰陽のバランスが回復します。中指で「百会」を押しながら時計回りに50回、逆回りにも50回、刺激してやりましょう。力加減はやや強め、痛みを感じる一歩手前ぐらいが適当です。毎晩寝る前に座って行うのがいいでしょう。 不眠のひどい方、頭痛を伴う方は、一日3セット行うようにしてください。 『少衝』 手の小指の内側(薬指の側)の、爪の付け根から2ミリほど下のツボです。考えごとをしていて頭が冴えてしまい、眠れなくなったときに使います。この「少衝」は経絡で心臓とつながり、精神的な症状の治療によく使われます。ストレスを取り除き、深い眠りに誘ってくれるツボです。反対側の手の親指と人さし指で「少衝」を挟み込むようにして、やや強めにぐりぐりと1分ぐらい押してやります。両方の手をやるのがよいでしょう。 これを一日3回行うと、さらに効果が上がります。 夏の終わり頃、季節の変わり目にまた、顔面麻痺が増えるものです。今日は去年の9月上旬にいっらした患者様の症例をご紹介したいと思います。
患者様:40代男性 症 状:左顔面神経麻痺初めて来院されたときは、左の目を全く閉じることができない状態でした。右の目が普通ですが、左目は涙目になっています。麻痺のある左側の筋肉が健康な右側に引っ張られるため、左の口の角がたれ下がっていました。 ある朝起きると、顔の左半分が動かないことに気がついたのだそうです。水を飲んでも口の端から零れ落ちてしまいます。 さっそく病院に行くと「顔面神経麻痺」と診断され、すぐに入院することになりました。病院での治療は主としてステロイド剤の点滴だったようです。入院中にインターネットで鍼治療が有効と知り、病院から抜け出して当院にきたというお話でした。 仕事はデスクワークとのことで、溜まりに溜まったストレスが引き金となって、顔面神経麻痺を発症したようです。病院での治療と鍼治療を並行して受診したいとの意向で、入院中の病院を毎日抜け出して当院に通われました。 この病気を中国医学では「口眼歪斜病」と呼びます。文字通り口や目が歪む病気で、疲れが溜まっているときに冷たい風などの邪気(悪い気)に侵されると、気血不和(体内を巡る気と血液の流れが滞る状態)になり、発症すると考えられています。 治療としては、「地倉」と頬車、「陽白」と「魚腰」などのツボに透刺鍼を打つことによって主に体内の邪気を取り除き、 血流をよくすることで、詰まった経絡(気の通り道)を開きます。 この患者さんの場合、病院を退院後も当院での治療を継続し、3回目の治療あたりから顔の筋肉を多少動かせるようになるなど 徐々に変化が現れ始めました。7回目の治療が終わった後に10日間の出張があり、その後の治療では、疲れのためか症状が少し揺り戻した感じがありました。その後、目を閉じることができるようになり、意識して額に皺を寄せる動きもできるようになりました。また、口元を丸めることもできるようになり、めでたく完治しました。 ※施術効果には個人差があります。 鍼灸というと腰痛や肩こり、筋肉痛などを治療するものというイメージが強いと思いますが、何度も書くように中国では「医療」であり、様々な内臓疾患や神経症などの治療に日常的に使われています。きょうは特に内臓疾患に及ぼす鍼治療の効果について書いてみたいと思います。
ふだん腰痛や背痛を訴えて健身院においでになる患者様を治療していて、腰や背中に鍼を打つとグルグルと音を立てて胃腸が動き出すのがわかることがあります。患者様のなかには、鍼を打ったらお腹が減ってきたとおっしゃる方もいらっしゃいます。 これは腰の筋肉の過度の緊張が原因で胃腸の動きが鈍くなっていたり、逆に胃腸の不調が腰の張りという形で現れていたりすることを意味しています。鍼で刺激をすることによって、内臓の動きが活性化されて症状が緩和するわけです。 腰痛や背痛の場合だけではありません。胃の不調を訴えて来院された患者様には、例えば「足三里」というスネにあるツボに鍼を打つと胃液の分泌が促進されます。また、お腹にあるツボに直接鍼を打って刺激を与える方法もあり、電気パルスで刺激を強めることもできます。これは、便秘や下痢、食欲不振などの症状があるときの治療法で、中脘や関元などのツボを使います。 中脘はみぞおちと臍を結ぶ線の中間にあり、ちょうど胃のところに当ります。関元は下腹部にあるツボで小腸の働きを活性化するのに効果があります。武道の世界では「丹田」と呼ばれ、精神集中のため丹田に力を込めることが大切だと教えられるようですね。また生理痛や生理不順、更年期障害に効果があるツボとしても知られています。こうした鍼刺激による内臓機能の活性化は、近年は抗がん剤や放射線治療の副作用を緩和する方法として世界的に注目されています。 当院では開院以来、慢性前立腺炎の治療に力を入れており、朱院長が大変多くの患者様を診てきました。慢性前立腺炎の治療も関元や、やはり下腹部にある前立腺穴、気海などに鍼を打ちます。肩こりや腰痛にとどまらない鍼の治療効果、特に胃腸など内臓機能の活性化には即効性がありますので、みなさまちょっと驚かれるかもしれません。これから食欲の秋などで胃腸の不調を訴える方が多くなる季節です。お腹の調子が悪いなと思ったときはお早めに当院にご相談ください。 健身院の慢性前立腺炎治療法は、三つのパターンに分かれています
いつも多くの患者様に健身院を信頼、ご利用いただき、誠にありがとうございます。 当院では大勢の慢性前立腺炎の患者様が鍼灸治療を受けておられますが、その内 90%以上の方から、症状が改善し治療の必要がなくなったとのお声をいただいています。 その理由は、当院では一人一人の患者様の体質に合わせて、それぞれに応じた治療方法を 採用しているからです。また、前立腺炎に効く奇穴(特別なツボ)を上手に利用することも、当院の 治療法の特徴です。 当院では、慢性前立腺炎を症状に応じて次の三つのパターンに分け、鍼治療にあたっています。 1. 精関不固型慢性前立腺炎: 腎の精気が弱っている時、症状として疲れやすいなど。 腎の精気とは、人体を構成する基本物質であり、 人体の発育および各種の生理機能の基礎になるものです。 2. 肝腎陰虚慢性前立腺炎: 肝と腎の陰が弱い時、症状として汗ばむなど。 肝腎陰虚とは、血虚(血液や栄養分が足りなくなる)、 津液( 津液とは東洋医学において、汗や尿、涙など体内水分の総称のことです) 不足により陽が盛んになって、肝腎に熱が現れた状態を言います。 症状としては手足の痺れ、腰膝の無力、耳鳴り、寝つきが悪い、性機能の減退 などがあります。 3. 瘀血型慢性前立腺炎: 症状として、顔色がくすんで見えるなど。 瘀血とは血の流れが滞り、血液がドロドロの状態を言います。 この三つを適切に使い分けることによって、鍼治療の効き目が飛躍的に上がります。 鍼灸治療というと、一般的に肩こり、腰痛などのイメージが強いようですが、実は多くの神経症状にも効果を発揮します。当院では23年前の開院以来、顔面神経麻痺の治療に力を入れてきました。顔面神経麻痺には大きくいって二種類あり、片側の顔の筋肉がコントロールできなくなるベル麻痺と耳や耳の穴に水ぶくれ、かさぶたを伴うハント症候群です。ベル麻痺は長いあいだ原因不明といわれてきましたが、近年の研究によって、顔面神経の奥に潜伏していた単純ヘルペスウィルスが、激しい寒さに晒されたり過労やストレスに見舞われたりすることで、異常増殖して起こるらしいことがわかってきました。
今回は単純ヘルペスウィルスによる左顔面神経麻痺(ベル麻痺)のケースをご紹介します。 1ヶ月前から当院に通っていらっしゃる38歳の女性で、当初は左眼が完全には閉じず、笑うことが難しく、もちろん話もしにくい状態でした。左耳の裏に痛みあり、ときどき左側の耳に音が異常に大きく聞こえるといいます。来院されたのは発症から2週間後のことでした。病院でステロイド、メチコパールなどの薬を処方され、神経的な症状は少し改善されたものの、麻痺が依然としてひどいので、知り合いから紹介されて当院を訪ねて来られました。この患者さんの場合、最近新しい職場に移ったばかりとのことでやはりストレスがあったのでしょう、免疫力が低下してヘルペスウイルスが増殖したようです。舌を拝見したところ、中医学でいう「舌質赤・苔薄黄」が現れており、「脈浮」「風熱」の症状があるところから、おそらく気血の流れが悪くなって顔の筋肉に栄養がいきわたらなくなり、顔面神経麻痺を発症したものと考えられました。 治療は、顔面と顔面神経の出所である耳の裏側に加え、手や足のツボにも鍼を打つ方針で行ないました。麻痺の状態を見ながら、毎回微妙に鍼の打つ角度や深さを変えることにしました。10回の治療(1クール)でおよそ7割が治癒したと判断、現在は完全回復に向けて通院していただいています。 ※施術効果には個人差があります。 |
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