顔面神経麻痺の患者様にとって、リハビリは治療と同じぐらいに重要なものです。
根気よくリハビリを続けることが大切です。 自分自身で手軽にできるリハビリといえば、 温熱療法やマッサージ、 「ミラーバイオフィードバック療法」などが挙げられます。 簡単にご説明しましょう。 1 温熱療法とマッサージ 中国医学では顔面神経麻痺は「冷風突撃」によって生じるものだとされています。 そこで、当院では顔面を温めることを患者様にお勧めしています。 朝起きてすぐに蒸しタオルで顔を温め、夜も寝る前に一回温めるようにしましょう。 温めた後は顔に保湿クリームを塗って優しくマッサージを行います。 力加減はご自身が気持ちよく感じられる程度で充分です。 蒸しタオルはフェイスタオルを水で濡らして絞り、 おしぼりのようにくるくる巻いて電子レンジで1分半ほど温めればいいでしょう。 蒸しタオルはそのままでは熱いので、 電子レンジから取り出してすぐに顔にのせるのは避けましょう。 2 ミラーバイオフィードバック療法 聞き慣れない言葉ですが、鏡を見ながら表情筋の動きをコントロールするリハビリです。 鏡を見ながら口笛を吹く練習、 イーをいう形で口を横に引いて歯を見せる、プーと頰を膨らませる練習などがあります。 そのときに注意すべきことは、なるべく額や目の筋肉を動かさないこと。 目と口が一緒に動くことがないように、 ゆっくり軽く動かすことをイメージしながら行います。 同様に、目を閉じる練習、額にしわを寄せる練習をするときも、 口元を動かさないように注意しながら行うといいでしょう。 例えば、ものを食べるときに無意識のうちに目を閉じてしまったりすることを 「病的共同運動」と呼びますが、 ミラーバイオフィードバック療法はその発症を防ぐのにも有効です。 続いて、顔面神経麻痺の患者様が日常生活で注意すべき点を列挙します。 ・食事や話をするときには意識をして 口を大きく動かすよう心がけましょう。 そして、口の周りの筋肉を動かすとき、 なるべく額や目の筋肉を動かさないこと。 すでに病的共同運動が出ている患者様は、 食事の際に目を細めがちになりますので、 意識して大きく開くよう心がけましょう。 ・目を閉じることができない場合、 まばたきできず目が乾いてしまう場合は、 目の粘膜を保護する必要があります。 症状の重い方は夜は眼帯をしましょう。 ただし、寝ているあいだにも 麻痺した神経は回復していますので、 眼帯はきつく圧迫しないようにした方が 治りが早くなります。 眼帯を締め過ぎないよう注意しましょう。 ・最後にミラーバイオフィードバック療法を 行うときの注意点です。 この療法はやりすぎてはいけません。 特に発症から3ヶ月程度で、 まだ口の歪みが残っていたり、 目を閉じるのが難しかったりする場合は、 無理に行わないほうがいいと思います。 不適切なリハビリを行うと かえって病的共同運動を生じかねません。 当院では顔面神経麻痺の治療だけではなく、 患者様のリハビリの指導も行なっています。 どうぞお気軽にご相談ください。
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40代男性、ベル麻痺、一週間前に発症。
来院時の症状:左側の目が閉じられない、涙が出る、口元の歪み、耳周辺の痛み。 前にも書きましたが、この病気を中国医学では「口眼歪斜病」と呼びます。 文字通り口や目が歪む病気で、疲れが溜まっているときに冷たい風などの邪気(悪い気)に侵されると、気血不和(体内を巡る気と血液の流れが滞る状態)になり、発症すると考えられています。 治療としては、 「地倉」と頬車、「陽白」と「魚腰」などのツボに特殊な透刺鍼を打つことによって主に体内の邪気を取り除き、血流をよくすることで、詰まった経絡(気の通り道)を開きます。 治療経過: 早い段階から始めた治療ですので、経過はいたって順調です。2クールの治療を終えて、目も閉じられるようになり、ひたいと口元のシワがなくなり、耳のいたみも消えました。ただ、疲れる時に少しこわばり感がまだ残っていました。それは日にちが経てば自然によくなります。 顔面神経麻痺の針治療はできるだけ早期開始することによって、早期回復に繋がります。 そして、拘縮や共同運動などの後遺症リスクも軽減できます。 クーラーの当たり方を間違えると顔面麻痺になりやすい
梅雨もまっただ中、蒸し暑い日が続き、クーラーが手放せなくなる今日この頃。 ご存じですか?実は、クーラーの当たり方一つ間違えていると、顔面神経麻痺になって しまうというケースがたくさんあります。 患者のB様が朝目が覚めて、洗面所で歯を磨き始めると水が口からこぼれ落ちるのことに驚き、 慌てて病院へ行くと顔面神経麻痺と診断されました。 原因は前日暑かったせいで、家について冷房をガンガン入れた上に扇風機も入れました。 汗をかいた上、急に冷気で冷やしたため、顔面神経の血管が急激な変化に耐え切れず痙攣し始めるのです。 さらに顔面神経組織に浮腫が起こり、最終的に顔面神経麻痺が起こります。 その場合は、まず病院へ行き、なるべく早く治療を始めた方が予後もよくなりす。 もし、顔面神経麻痺になってしまった場合、以下のことに注意しましょう ・夏は冷房のついた部屋にいるときはマスクをつけましょう。 ・顔洗うときは温かいお湯で洗いましょう。 ・眼帯をつけて、角膜を保護しましょう。 ・寝るときはクーラーの風が当たるのを避けましょう ・表情筋を鍛えましょう ・顔のマッサージをしましょう の顔面神経麻痺のマッサージについて、中医学独特なツボマッサージがあります。 一つは地倉穴(口の横にあります)、もう一つは頬車穴(力を入れて歯をかみ合わせると 筋肉の盛り上がるところに当る)。古典『玉龍歌』に“地倉頬車療口禍”と書いてあります。 意味は口のゆがみは地倉と頬車で治す。この二つのツボをよく揉むことで口のゆがみを 早く治すのを助けてくれます。 上の図を参考にして、ぜひ、試して見てはいかがでしょうか? 今日は若い人にも起きる顔面麻痺の例をご紹介します。
患者さんは20代の男性で、北京出身の留学生です。 以前健身院にぎっくり腰で通ったことがある大使館の職員からの紹介で来院されました。 来日してまだ半年とのことで、初めての異国暮らしで生活環境が変わり、 その上コロナウイルスの影響で、想像以上のストレスがあったのだと思います。 風邪を引いたあとに、突然、顔面神経麻痺になったそうです。 さっそく診察すると麻痺は顔の右側に現れていて、右目は閉じることができません。 耳の後ろにも痛みがあり、口をきちんと閉じることができないので、 水を飲もうとしても唇の端からこぼれてしまう状態でした。 脈は浮き、舌質は赤い、舌苔は黄色、耳後ろに痛みあるなどのことから風熱邪気に よる顔面神経麻痺です。麻痺した神経を早く回復させるために施術方針をたてました。 3回目の治療まで顕著な変化は見られませんでしたが、4回目からは少しずつ目を 閉じられるようになり、食べ物を上手く飲み込めずに口の右側にたまって しまう症状にも、改善が見られました。 その後は日を追ってよくなってきて、10回目の治療でほぼ完治の状態になりました。 後遺症を残さないためもう10回通っていただき、治療終了となりました。 根気強く治療に通われた甲斐があって、 以前の健康な若々しさを取り戻していらっしゃいます。 鍼灸治療というと、一般的に肩こり、腰痛などのイメージが強いようですが、
実は多くの神経症状にも効果を発揮します。当院では20年前の開院以来、 顔面神経麻痺の治療に力を入れてきました。 顔面神経麻痺には大きくいって二種類あり、片側の顔の筋肉がコントロール できなくなるベル麻痺と耳や耳の穴に水ぶくれ、かさぶたを伴うハント症候群です。 ベル麻痺は長いあいだ原因不明といわれてきましたが、近年の研究によって、 顔面神経の奥に潜伏していた単純ヘルペスウィルスが、激しい寒さに晒されたり過労や ストレスに見舞われたりすることで、異常増殖して起こるらしいことがわかってきました。 今回はヘルペスウイルスによる 左顔面神経麻痺(ベル麻痺)のケースをご紹介します。 1ヶ月前から当院に通っていらっしゃる38歳の女性で、当初は左眼が完全には閉じず、 笑うことが難しく、もちろん話もしにくい状態でした。左耳の裏に痛みあり、 ときどき左側の耳に音が異常に大きく聞こえるといいます。 来院されたのは発症から2週間後のことでした。病院でステロイド、メチコパールなどの 薬を処方され、神経的な症状は少し改善されたものの、麻痺が依然としてひどいので、 知り合いから紹介されて当院を訪ねて来られました。 この患者さんの場合、 最近新しい職場に移ったばかりとのことでやはりストレスがあったのでしょう、 免疫力が低下してヘルペスウイルスが増殖したようです。舌を拝見したところ、 中医学でいう「舌質赤・苔薄黄」が現れており、「脈浮」「風熱」の症状があるところから、 おそらく気血の流れが悪くなって顔の筋肉に栄養がいきわたらなくなり、 顔面神経麻痺を発症したものと考えられました。 治療は、顔面と顔面神経の出所である耳の裏側に加え、手や足のツボにも鍼を打つ方針で行ないました。 麻痺の状態を見ながら、毎回微妙に鍼の打つ角度や深さを変えることにしました。 10回の治療(1クール)でおよそ7割が治癒したと判断、現在は完全回復に向けて通院していただいています。 夏の終わり頃、季節の変わり目に
また、顔面麻痺が増えるものです。 今日は去年の9月末にいっらした患者様の症例をご紹介したいと思います。 患者様:50代男性 症 状:左顔面神経麻痺 初めて来院されたときは、 左の目を全く閉じることができない状態でした。 右の目が普通ですが、左目は涙目になっています。 麻痺のある左側の筋肉が健康な右側に引っ張られるため、 左の口の角がたれ下がっていました。 ある朝起きると、 顔の左半分が動かないことに気がついたのだそうです。 水を飲んでも口の端から零れ落ちてしまいます。 さっそく病院に行くと「顔面神経麻痺」と診断され、 すぐに入院することになりました。 病院での治療は 主としてステロイド剤の点滴だったようです。 入院中にインターネットで鍼治療が有効と知り、 病院から抜け出して当院にきたというお話でした。 仕事はIT関係とのことで、 溜まりに溜まったストレスが引き金となって、 顔面神経麻痺を発症したようです。 病院での治療と鍼治療を並行して受診したいとの意向で、 入院中の病院を毎日抜け出して当院に通われました。 この病気を中国医学では「口眼歪斜病」と呼びます。 文字通り口や目が歪む病気で、 疲れが溜まっているときに 冷たい風などの邪気(悪い気)に侵されると、 気血不和(体内を巡る気と血液の流れが滞る状態)になり、 発症すると考えられています。 治療としては、 「地倉」と頬車、「陽白」と「魚腰」などのツボに透刺鍼を打つことによって 主に体内の邪気を取り除き、 血流をよくすることで、 詰まった経絡(気の通り道)を開きます。 この患者さんの場合、 病院を退院後も当院での治療を継続し、 3回目の治療あたりから 顔の筋肉を多少動かせるようになるなど 徐々に変化が現れ始めました。 7回目の治療が終わった後に10日間の出張があり、その後の治療では、 疲れのためか症状が少し揺り戻した感じがありました。 その後、目を閉じることができるようになり、 意識して額に皺を寄せる動きも できるようになりました。 また、口元を丸めることもできるようになり、 めでたく完治しました。 ここをクリックして編集する. |
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10 月 2020
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