当院は開院以来、様々な疾患の患者様の治療をさせていただいておりますが、
一番患者様の数が多い、 言い換えれば得意にしている疾患は顔面神経麻痺と顔面けいれんだと思います。 顔面神経麻痺の患者様の数は現在で延べ12万人、顔面けいれんの患者数は延べ1.5万人を 治療してきた実績があります。 さて、この二つの疾患はともに顔面に現れる病気ですが、 顔面神経麻痺はヘルペスウィルスなどが原因で起こることが多く、 顔面けいれんは血管による顔面神経の圧迫や顔面神経麻痺の後遺症、 頭部の腫瘍や動脈瘤の影響で起こります。 原因が違うのですね。 当然、治療のしかた(鍼の刺し方)が違ってきます。 当院では、顔面に鍼を打ち、症状によってはお灸や特殊な刺鍼法を使っています。 顔面神経麻痺に対する鍼治療の有効性自体、 WHO(世界保健機関)は 1979年時点で認めていますが、 否定的な見解もあっていまだ百家争鳴というところです。 そこできょうは、 顔面神経麻痺や顔面けいれんの鍼治療がごく一般的に行われている、 中国の病院で勤務した経験を書いてみることにいたします。 上に掲げた写真は三十年以上前のもので、 中国の上海中医薬大学付属龍華病院で修業中の私(姚)です。 顔面神経麻痺の患者様をはさんで、 同僚の医師と一緒に撮ったものです。 この病院では、顔面神経麻痺急性期の患者様は鍼と灸を中心に治療し、 回復期に入ると鍼と水鍼(漢方の注射)による治療を行なっていました。 特殊な刺し方は 筋肉に刺激を与え、麻痺した神経伝導の感度を回復に導く役割を果たします。 中国では、この治療原則が最も妥当なものとされており、それは現在も変っていません。 いま私の手もとに 2016年に中国の人民衛生出版社が出版した「針灸治療学」の教科書がありますが、 ここにも「発症から0〜7日以内の急性期は、針を深く刺すのは禁止。 7日目以降6ヶ月までの回復期には針の刺激量を増やし、 吸い玉療法、刺絡(鍼を刺して血を出す治療法)、灸などを総合的に運用する」と記載されています。 一方、顔面けいれんの場合は、 当院では「顔面神経根刺法」という特種な鍼の刺し方を使って けいれんを止めるようにしています。 けいれんが起きている時に強い刺激を与えるのは禁物なので、電気パルスは使いません。 そうすると、顔面けいれんが原因で顔面神経麻痺を起こした場合はどうするのか、 そういった微妙な見極めが治療効果を大きく左右することになります。 私たちが健身院で採用している治療法は、 鍼灸の本場・中国の大原則に従ったもので、中国における「標準治療」だといってもいいでしょう。 ごくオーソドックスで、 なんら目新しいものではありません。 ただし、患者様の症状を正確に見極め、 最も適合する鍼の刺し方や治療法を選択するためには、それなりの経験が必要です。 当院が患者様に信頼をしていただけるのは、 朱院長が臨床経験32年、 副院長の私で25年というキャリア、 それに加えて二人とも中国の病院で勤務し、 実際に顔面神経麻痺や 顔面けいれんの患者様を多く治療してきた 実績が評価されてのことと自負しています。
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3月 2023
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