鍼灸治療というと、一般的に肩こり、腰痛などのイメージが強いようですが、実は多くの神経症状にも効果を発揮します。当院では23年前の開院以来、顔面神経麻痺の治療に力を入れてきました。顔面神経麻痺には大きくいって二種類あり、片側の顔の筋肉がコントロールできなくなるベル麻痺と耳や耳の穴に水ぶくれ、かさぶたを伴うハント症候群です。ベル麻痺は長いあいだ原因不明といわれてきましたが、近年の研究によって、顔面神経の奥に潜伏していた単純ヘルペスウィルスが、激しい寒さに晒されたり過労やストレスに見舞われたりすることで、異常増殖して起こるらしいことがわかってきました。
今回は単純ヘルペスウィルスによる左顔面神経麻痺(ベル麻痺)のケースをご紹介します。 1ヶ月前から当院に通っていらっしゃる38歳の女性で、当初は左眼が完全には閉じず、笑うことが難しく、もちろん話もしにくい状態でした。左耳の裏に痛みあり、ときどき左側の耳に音が異常に大きく聞こえるといいます。来院されたのは発症から2週間後のことでした。病院でステロイド、メチコパールなどの薬を処方され、神経的な症状は少し改善されたものの、麻痺が依然としてひどいので、知り合いから紹介されて当院を訪ねて来られました。この患者さんの場合、最近新しい職場に移ったばかりとのことでやはりストレスがあったのでしょう、免疫力が低下してヘルペスウイルスが増殖したようです。舌を拝見したところ、中医学でいう「舌質赤・苔薄黄」が現れており、「脈浮」「風熱」の症状があるところから、おそらく気血の流れが悪くなって顔の筋肉に栄養がいきわたらなくなり、顔面神経麻痺を発症したものと考えられました。 治療は、顔面と顔面神経の出所である耳の裏側に加え、手や足のツボにも鍼を打つ方針で行ないました。麻痺の状態を見ながら、毎回微妙に鍼の打つ角度や深さを変えることにしました。10回の治療(1クール)でおよそ7割が治癒したと判断、現在は完全回復に向けて通院していただいています。 ※施術効果には個人差があります。
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男性、46才、元会社員。
主訴:ペニスなど下腹部の痛みと違和感。 現病歴:約5ヶ月前からペニス、下腹部などに痛みが出るようになりました。泌尿器科で前立腺炎と診断され、薬(セルニルドンなど)や前立腺マッサージなどで少しよくなったが、その後また悪くなって、ペニスと下腹部の痛みと違和感が昼も夜も酷くて、苦痛と心配で夜も眠れなくなりました。心療内科で睡眠薬と抗鬱剤も処方され、今は前立腺炎の薬と全6種類の薬を飲んでいるそうです。それでも症状が改善されず、仕事まで休んでしまいました。その後ネットで色々調べ、鍼灸は前立腺炎に効くのが初めて知りました。 健身院で鍼治療の経過: 患者様が来院した時、かなり元気がなくて、途方に暮れていました。問診では、陰茎、会陰部、下腹部痛みが強く、昼も夜も、20分も座れない、夜、睡眠薬を飲んでも夜中に起きてしまう、それからなかなか寝れないという日々が続いていました。 また、トイレも近く、時々頭が痛くなります。腹診で下腹部に張り感がつよく、手足も冷えていました。舌診をみると舌尖は赤い、脈は弦でした。この患者様は前立腺炎を罹患して以来、長く薬を飲んでいましたが、痛みなどの症状が治らくて更に酷くなり、自律神経失調まで陥っていました。鍼灸治療は患者様の全身症状に対応して行く必要があります。治療開始から最初の5回位は痛みがあまり変化ありませんでした。患者様も痛みにたいして凄く敏感になり、鍼の刺激が怖くなったといいます。ここで患者様を励まして8回になる時は痛みが少しあるものの大分軽くなったといいます。患者様の表情も少し明るくなりました。それ以降、治療のたびに諸症状が改善され、だいたい15回目から夜は起きずに朝まで寝れるようになりました。 現在も三クール目通院中。おそらく、3クールで完治すると思います。 日頃治療の現場に立つ医者として常に思うこと: 多くの前立腺炎の患者様がかなり時間が経ってから鍼治療にいらっしゃるので、本当はもっと早く鍼治療を受ければ何回かで完治できると常に思っています。 |
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3月 2023
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