顔面神経麻痺と鍼灸治療 30代男性
顔面神経麻痺は西洋医学でなかなか 治りにくいため、鍼灸に希望を託して 来院される方が少なくありません。 今日ご紹介するのは、お仕事でよく東京に いらっしゃるというロシア人男性です。 まだ三十代の若さですが、顔の左側の神経が 麻痺して苦しんでいらっしゃいました。 発症は突然のことで、お酒を飲み 過ぎた翌朝の朝食のときでした。 食べ物が口の端からこぼれ落ちるのに 気がついて、慌てて病院にいったそうです。 「顔面神経麻痺」という診断でした。 治療薬をもらって飲みましたが快癒せず、 発症から一週間後に当院に来院されました。 来院されたときには、 左の目を閉じることができない状態でした。 また、口の左端が垂れ下がっており、 口輪筋が麻痺しているため、 口から食べたものがこぼれ落ちて いたのです。さらに舌の前側2/3は味覚を 感じられなくなっていました。 「味覚」と一口で言いますが、 舌の前の方では甘さや辛さを感じ、 奥は主として苦みを感じるように できています。舌の前の方が麻痺して いたので、食べ物がとても苦く感じられた とのお話でした。そのほか舌の先が赤く、 脈はやや早い、東洋医学でいう 「風熱」の状態にありました。 こうした症状の治療としては、 まず、滞っていた「気」の通り道の開通を 図ります続いて血行をよくし、 体に溜まった「風熱」を追い出します。 そのために鍼を打つツボは、 「風池」(耳の後から中心へ指三本のところ) や「翳風」(耳の後)など、 やはり顔面のツボが中心になりますが、 局所の血行をよくするために 「承漿」(下唇の下)なども使います。 こうした治療を10回行い、 およそ1ヶ月でほとんど平常に戻りました。 顔面神経麻痺の治療は時間を要することが 多く、若さもあるのでしょうが、 この患者さんは回復が早い方でした。
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1 月 2021
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