1.関節痛の種類と原因、主な症状
関節に痛みをもたらす疾患は様々あります。 関節炎の例を挙げれば次のようなものです。 ① 四十肩、五十肩 いわゆる四十肩、五十肩は、正式には肩関節周囲炎といいます。 加齢にともない、肩関節とその周辺の組織が慢性的な炎症を起こし、 腕を上げたり、後ろに腕を回す動作が痛みのために制限されます。 ② 変形性膝関節炎(膝痛) 加齢による関節の変形や肥満で過剰な体重の圧力がかかることによって、 膝関節の軟骨がすり減り、関節が変形や炎症を起こし、痛みを生じます。 膝痛のなかで最も多いのがこの病気で、特に女性に多くみられます。 ③ 顎関節症 あごが痛む、口を開けることができない、 あごを動かすとカックンと音がする、 これを顎関節症の三大症状と呼んでいます。 20~40歳の女性に多く発症しますが、 疫学調査によれば人口の7〜8割が 顎に何らかの症状を抱えているそうです。 ④ 関節リウマチ 感染症を引き金に全身的な免疫異常が発症、 関節に慢性的な炎症が起こって痛みや変形が生じます。 関節の強ばりや腫れ、痛み、筋肉の硬直などの症状が現れます。 これも女性に多くみられる病気です。 ⑤ 化膿性関節炎 ケガなどが原因で、関節に細菌が入り込み、関節が化膿して炎症を起こします。 関節が炎症によって赤く腫れ、痛みが生じ、 症状が進行すると関節が破壊されて固まり、日常生活に支障をきたすこともあります。 ⑥ 痛風 アルコールや肉、魚などに含まれるプリン体のとり過ぎや水分不足などによって、 血液中の尿酸値が高い状態が続き、 血液に溶けきれない尿酸が結晶化して関節に溜まり炎症を起こします。 足の親指付け根が突然激しく痛みだし、赤く腫れ上がる発作で始まります。 ⑦ 股関節痛(変形性股関節症) 患者様の多くは中高年期を迎えた女性で、 股関節痛の原因の約8割がこの病気です。 立ち上がるときや歩き始めに痛みを感じたら変形性股関節症が疑われます。 放置しておくと痛みがひどくなってきて、 長い距離を歩けなくなるのはもちろん、 長時間立っているだけでもつらくなります。 ⑧ 捻挫 関節の周囲にある靭帯に無理な力が加わり、靭帯の組織が切れた状態です。 足首の関節に起こることが多く、腫れや痛みの症状があらわれます。 靭帯が完全に切れてしまった場合は、関節がガクガクと不安定になり、 手術で切れた靭帯をつなぐ必要があります。 一方、手根管症候群や足根管症候群は神経が圧迫されて痛みを生じる病気ですが、 手首や足首など関節の痛みとして認識されることが少なくありません。 ⑨ 手根管症候群 手首の使い過ぎなどが原因で手指のしびれや痛み、運動障害を生じます。 手首の内側を走っている正中神経がなんらかの要因で圧迫されて起こります。 リウマチの症状とよく似ていて、指のしびれや知覚異常、痛みが主ですが、 人によっては手首の関節痛として認識されることもあります。 ⑩ 足根管症候群 くるぶしの内側を走っている脛骨神経が圧迫されて、痛みやしびれを生じる病気です。 くるぶしの周辺に激しい痛みを感じます。 ⑪ 橈骨神経麻痺 腕の動きを支配する神経のひとつ、橈骨神経の領域が麻痺する病気です。 手首に力が入らなくなって垂れ下がったままになってしまうのが主な症状ですが、 人によっては手首関節周辺の痛みとして認識されることもあります。 ⑫ 腱鞘炎 スマホの使い過ぎで親指を酷使するのが原因で最近特に増えている病気です。 指を曲げる腱を覆っている「さや」が 繰り返し機械的な刺激を受けることによって 炎症を起こした状態をいいます。 発症当初は親指を動かしづらい程度ですが、 やがて親指の付け根が痛み始め、放置すると痛みは手首にまで拡大していきます。 2.関節痛に鍼が効く理由(わけ) こうした関節痛には鍼灸による治療が極めて効果的です。 鍼には神経の働きや血流をコントロールする作用があり、 そのため痛みの感覚や炎症を和らげることができるのです。 膝痛(変形性膝関節炎)を例にとれば、 鍼灸を組み合わせた治療でまず炎症を抑え、 そうすることで狭くなっていた膝の可動域を拡大していくなど リハビリテーションの役割も果たします。 膝に水が溜まってしまった場合だと、 注射器で水を抜くことはできますが対症療法であり、根治とは言えません。 鍼灸による治療で水が自然に引くようにするのが賢明といえます。 また鍼灸には、炎症を強くするたんぱく質の合成をを抑制し、 弱くなった筋肉を強化する一方で、 過緊張の状態にある筋肉をほぐすという効果もあることが報告されています。 一方、手根管症候群(手首痛)や足根管症候群(足首痛)の場合は、 神経の通る狭いトンネルのような管が炎症を起こして腫れ、 それが神経を圧迫することによって強い痛みを生じる病気です。 鍼で炎症を和らげてやれば、神経への圧迫が減るので痛みの緩和が期待できます。 こうした神経系の痛みに鍼灸が極めて大きな効果を発揮する理由です。 中国医学では「気血の滞りには痛みあり」、 逆に「気血自由に流れるところに痛みなし」と言われます。 体内のエネルギー(気血)の通り道とされる経絡に働きかけ、 滞っている流れをスムーズにするのが治療の基本です。 治療にあたっては、まず患者様の症状に関係していると思われる経絡を明らかにし、 (経絡は主なものだけで12本あります) その経絡の上にあるツボを中心に治療に使うツボを複数選んで鍼や灸を施術します。 そのため、関節痛の場合でも、 痛みを感じる関節とは離れた場所に鍼を打つことも珍しくありません。 3.日常生活でできる関節痛の予防  ① 適度な運動を毎日行いましょう 自宅でできる簡単な運動でいいのです。毎日習慣づけて、関節の劣化を防ぎましょう。 例えば膝痛の予防であれば、 腿を交互にできるだけ高く上げたり、 椅子に座って片足を前に伸ばして10秒間静止したりしてみましょう。 激しすぎる運動は関節に負担をかけるので、 テレビでよく午前中などに放送している体操でもいいと思います。 ② 太り過ぎに注意が必要です これも主に膝痛や足首痛の場合ですが、肥満は関節の負担を増大します。 太り過ぎが気になる方は、 食事のカロリーを減らし、規則正しい食生活を心がけるなどして 体重が増え過ぎないようにコントロールすることが重要です。 肥満防止のためにも、適度な運動を心がけるようにしましょう。 あまり大げさに考えず、早足を心がけながら散歩するだけでもいいと思いますよ。 ③ 体を冷やさないようにしましょう 体が冷えると、血液循環が悪化して関節痛を引き起こすことがあります。 入浴は最も簡単な関節痛の予防法ですから、 シャワーを浴びるだけですませることなく、いわゆる〝カラスの行水〟も避けましょう。 38~40℃ぐらいのぬるめのお湯にゆったりと長時間つかるようにしましょう。 |
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