クローン病に高い専門性
~西洋医学に限らない、新たな選択肢~
クローン病は、口から肛門までの消化管全体に炎症が起こる慢性の炎症性腸疾患(IBD)の一種で、特に小腸と大腸の移行部(回盲部)に影響を及ぼすことが多い疾患です。腹痛、慢性的な下痢、栄養吸収不良、体重減少などの症状を伴い、重症化すると腸管の狭窄や瘻孔が形成され、手術が必要になることもあります。
西洋医学では、5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などが治療の中心ですが、これらの薬は副作用のリスクを伴い、症状のコントロールが難しい場合も少なくありません。
近年、鍼灸治療がクローン病をはじめとする消化器疾患の新たな治療選択肢として注目されており、多くの研究において鍼灸が腸粘膜の保護、免疫機能の調整、炎症の緩和、腸内環境の改善に効果を発揮することが示されています。

健身院のアプローチ
健身院では、中国医学の基本理念である弁証論治(べんしょうろんち)に基づき、患者一人ひとりの体質や症状を総合的に分析し、最適な治療法を選択します。
鍼治療では、特定のツボを刺激し、「挿し、ねじる」手法によって気を得ることで、陰陽のバランスを整え、病気の原因となる「邪」を取り除き、内臓の機能を調整します。
研究によると、鍼灸は多段階・多標的で生理機能に作用し、腸粘膜を保護するとともに、免疫異常を是正し、炎症を鎮め、腸の線維化を防ぐ可能性があるとされています。さらに、ストレスの軽減や自律神経の調整にも効果があり、クローン病の症状の緩和につながると考えられます。
患者の状態を詳細に見極め、的確な治療を提供することで、より良い健康状態へと導くことを目指しています。
当院の鍼灸治療実例
健身院では、西洋医学と中国伝統医学の視点を融合し、患者様一人ひとりの体質・症状に合わせた鍼灸治療を提供しています。
- 治療実例─1
-
患者29歳男性(会社員)
症状20代前半でクローン病と診断され、寛解と再燃を繰り返していました。特に小腸と大腸の移行部に炎症があり、慢性的な腹痛や下痢が続き、食欲も低下。生物学的製剤を使用していましたが、ストレスや疲労がたまると症状が悪化する状態でした。
治療この患者様には、腸の炎症を抑えながら、消化吸収機能を高め、ストレスによる自律神経の乱れを整えることを目的に治療を行いました。施術では、天枢(腸の働きを調整)、足三里(胃腸を強化)、関元(免疫機能を調整)などのツボを刺激しました。
鍼を刺した後、手法を用いて気を得ることで、腸の気血の巡りを改善し、炎症を鎮める効果を促しました。また、NLRP3炎症性小体の発生を抑えることで、腸のバリア機能を回復させることを目的とし、大腸兪に電気針を使用しました。
結果治療開始後1ヶ月で腹痛の頻度が減少し、食欲も回復。2ヶ月目には下痢の回数が減り、体重も増加。3ヶ月目には内視鏡検査で腸の炎症が改善傾向を示し、日常生活が快適になりました。
- 治療実例─2
-
患者35歳女性(フリーランス)
症状クローン病と診断されて10年以上が経過し、長年にわたる下痢と強い疲労感に悩まされていました。栄養の吸収不良により、貧血や低栄養状態が続き、体力が低下。冷え性や不眠の症状もあり、精神的なストレスも大きい状態でした。
治療治療では、腸の炎症を抑えながら、栄養吸収機能を改善し、全身の気血の巡りを調整することを目的としました。胃腸の機能を回復させるために、中脘を用いて消化不良を改善し、三陰交を刺激して冷えを和らげました。
また、ストレスによる自律神経の乱れを整えるために、百会や合谷を使用し、疏肝調神針法を取り入れました。この手法は、気血を調整し、ストレスによる腸の過敏反応を和らげることを目的としています。さらに、電気針を用いて腸の血流を促進し、腸粘膜の回復を助けました。
結果1ヶ月目には下痢の頻度が減り、食欲が回復。2ヶ月目には体重が安定し始め、全身の疲労感が軽減。3ヶ月目には栄養状態が改善し、貧血の数値も回復。腸の調子が安定し、生活の質が向上しました。
- 治療実例─3
-
患者42歳男性(公務員)
症状この患者様は10年前にクローン病と診断され、それ以来、ステロイド治療を続けていました。しかし、長期間の薬物使用により骨密度の低下、倦怠感、関節痛が悪化し、日常生活にも支障をきたすようになっていました。特に関節の痛みが強く、歩行時や階段の昇降が困難になることもありました。また、疲れやすく、仕事が終わる頃には極度の疲労を感じていました。
治療鍼治療では、腸の炎症を抑えながら、気血の巡りを改善することを目的に施術を行いました。 まず、腸の機能を調整し、栄養の吸収を促進するために足三里、関元を中心に鍼を行い、全身のエネルギーを補う施術を実施。また、関節痛の軽減を図るために血海、陽陵泉などのツボにもアプローチしました。さらに、電気針を併用し、血行を促進しながら炎症のコントロールを行いました。
結果1ヶ月後には、倦怠感が軽減し、関節の動きがスムーズになり始めました。3ヶ月後 には、関節痛が明らかに軽減し、歩行時の不自由さも改善。全身の血流が良くなり、疲労感の軽減も実感できるようになりました。また、担当医と相談の上、ステロイドの減薬に成功。その後も症状の悪化は見られず、体調の安定が維持されています。
「以前よりも動きやすくなり、仕事の疲れも軽減した」と患者様自身も実感されています。
- 治療実例─4
-
患者26歳女性(大学院生)
症状この患者様は 大学院での試験や研究によるストレスが原因で、クローン病の症状が悪化していました。特に 頻繁な腹痛と下痢、不眠、精神的な不 が強く、症状が悪化すると授業や研究活動にも支障をきたしていました。ストレスがピークに達すると、腸の不調が悪化し、食事を摂るのが怖くなることもあったそうです。また、夜も緊張が抜けず、眠れない日が続いていました。
治療このケースではストレスによる腸の過敏反応を抑え、自律神経を整えることを重視しました。精神的な緊張を緩和し、心身のバランスを整えるために百会(ひゃくえ)、印堂(いんどう)を使用。ストレスが腸に与える影響を和らげることを目的としました。さらに、消化吸収機能を高め、胃腸の負担を軽減するために足三里(あしさんり)、脾兪(ひゆ)を選択。施術には電気針を併用し、腸の血流を促進しながら神経の緊張を和らげるようにしました。
結果1ヶ月後には、不眠の改善が見られ、夜に自然と眠れるようになりました。精神的にも安定感が増し、試験や研究に対する過度な不安が軽減。2ヶ月後には、腹痛の頻度が減少し、食事への恐怖感も和らいできました。下痢の回数も減り、外出時の不安が軽くなりました。4ヶ月後には、再燃の頻度が大幅に減少し、症状が安定。研究に集中できるようになり、生活の質が向上しました。
患者様は「以前のように食事や外出を楽しめるようになり、研究にも前向きに取り組めるようになった」と笑顔で話されていました。
- 治療実例─5
-
患者50歳男性(自営業)
症状この患者様はクローン病による腸の狭窄が進行し、食事制限が必要な状態でした。少量の食事でもすぐに腹痛が生じ、消化不良を伴うことが多く、その影響で体重減少が続いていることが大きな悩みでした。仕事が忙しく、食事の時間が不規則になりがちで、ストレスが加わると症状が悪化しやすい傾向がありました。
治療腸の蠕動運動を調整し、消化機能を改善することを目的に施術を開始しました。腸の動きをスムーズにし、消化・吸収を促すために天枢(てんすう)、上巨虚(じょうこきょ)を刺激。さらに、電気針を併用し、腸の血流を改善することで、腸粘膜の炎症を抑えながら狭窄の進行を遅らせることを目指しました。また、全身のエネルギーバランスを整えるために、ストレスを軽減する手技も取り入れました。
結果2ヶ月後には、食後の腹痛が軽減し、少しずつ食事量を増やせるようになりました。消化の負担が減り、食事を楽しめるようになってきました。3ヶ月後には、体重が安定し、栄養状態の改善が見られ、日常生活の活力も向上。食事制限によるストレスも軽減され、精神的にも落ち着きを取り戻しました。6ヶ月後には、腸の狭窄の進行が抑えられ、症状のコントロールが可能に。これまで頻繁に起こっていた 強い腹痛や消化不良が大幅に減少し、仕事に集中できる時間が増えました。患者様は「以前は食べることが怖かったが、今では安心して食事を摂れるようになり、生活の質が大きく向上した」と喜ばれていました。
健身院の鍼灸治療で腸の健康を取り戻す
クローン病は 西洋医学の薬だけではコントロールが難しいことも多く、体質を根本から改善する治療が重要です。健身院の鍼灸治療では、 腸の炎症を抑え、消化吸収機能を改善し、免疫のバランスを整えることで、再発を防ぎながら症状の安定化を目指します。
また、電気針を用いることで腸粘膜のバリア機能を強化し、炎症因子の発現を抑えることが期待できます。これにより、腸のダメージを軽減しながら、自然治癒力を高めるサポートを行います。
「薬だけでは改善しない」「長年の悩みを解決したい」 とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。